米Appleの株式時価総額が8月10日(現地時間)に米Exxon Mobilを抜いてトップに踊り出て、同社が事実上世界最大の企業となったことが話題となっている。同日ニューヨーク市場の終値から算定された時価総額はApple (AAPL)が約3,372億ドル、Exxon Mobil (XOM)が約3,308億ドルとなり、64億ドルの差をつけて終値で初めて逆転した。現在世界の株式市場は経済先行き見通し不安における下げトレンドのただ中にあるが、それが結果としてAppleを躍進させる一助になったようだ。
今回の集計データはGoogle Financeのものを参考にしており、時価総額の算出方法等の違いから集計データによっては両社の数字に若干の違いが出ている可能性がある。1年以上前に米Microsoftを時価総額で抜いて第2位のポジションを得てからも時価総額を伸ばし続けてきたApple。だが1位のExxon Mobilとの差は当時で500億ドル近くあり、いくら好調のAppleとはいえその差を縮めるのは容易ではなかった。特にここ1年は原油価格の大幅上昇もあり、Exxon Mobilの業績や株価はなおも高い位置に居続けた。
その状況が変化する転機となったのが欧米での金融不安を発端にした為替相場や株式市場の乱高下で、80ドル以上の水準を維持していたExxon株は大きく下落し、ここ数日で70ドルを切る水準にまで落ち込んでいた。景気減速により燃料需要が大きく減少すると予測され、原油先物やExxon株の売りが進んだためだ。Apple自身もこうした下げトレンドで売りが進んだものの、その下落幅はExxon株よりも少なく、結果として両社の時価総額が逆転した状態となった。このあたりはAppleが第2位に躍進したときのレポートでも触れたが、奇しくもその予想通りの状況が再現されたわけだ。実際には9日の取引中にも両社の時価総額が逆転する状況が発生していたが、終値時点での評価で正式にAppleが時価総額トップになったのは初の出来事である。
問題はこれ以後のトレンドだろう。先日のノートPCシェアに関するレポートにあるように、当面はライバル不在という状況からApple優位な状況が続き、また不況下においても売上/純利益ともに好調に躍進を続けており、少なくとも2011年いっぱいは多少の順位の変動こそあれ、時価総額トップに限りなく近い状態はキープし続けるとみられる。前述のように需要減速懸念から石油メジャー系企業は下げトレンドに入っており、これは今後も変化ないだろう。Ychartsの世界企業の時価総額ランキングを参照すると、3位のPetroChinaとの比較でもAppleは1,000億ドル以上の差をつけており、この順位は容易に逆転しない。そのため不測の事態がない限り、少なくとも半年から1年近くはAppleが時価総額トップの座に君臨することはほぼ確実だといえる。