自宅にルータを導入しているユーザーにとって、毎年この時期になると気になるのが"熱暴走"だ。家庭用ルータは業務用と異なり、きょう体は小型で、冷却機構も静音重視のファンレス仕様が一般的。積もったホコリすら掃除しないままラックの奥地で置きっぱなし運用なんてのも、よくある話だ。さらにこの手の"家庭用ルータ君"の場合は、外出時のエアコンOFFな灼熱部屋でも、ひとり健気に頑張らねばならないことが運命付けられていることが少なくないのだ。
筆者などは、いつも熱暴走で回線が不安定になったり、酷い時には止まってから後悔するわけだが、扇風機で風を当てたり、うちわで扇ぐのもいいかげん疲れたので、何とかスマートに対策できないものかと思い悩むこと幾歳月……。ようやく今年、光明になりそうなモノをひとつ見つけたので、ちょっと試してみたいと思う。それが、タオエンタープライズが発売する、そのものズバリな"家庭用ルータ専用冷却器"「Dr.COOL」(型番:RC-01)だ。
設置は簡単、そのままクリップではさむだけ
Dr.COOLの特徴は、何と言ってもその独特のクリップ形状だろう。80mm径の冷却ファンを内蔵する本体の下側に向けて、左右からはさみ込める形状の大型クリップがせり出している。クリップはバネ式のテンションで対象機器に固定する方式で、さらに左右にスライドさせることができる機構なので、実測で大体100mm幅くらいから、最大で190mm幅くらいまでの機器に対応(メーカー公称では125mm~187mmまで)できる。
なお、冷却ファンのスペックとしては、サイズが80mm径10mm厚、回転数が2500rpm(±15%)、ノイズが21dBA以下で、ベアリングタイプというもの。給電はACアダプタまたはUSBにも対応している。本体のサイズはクリップを最も短くした状態でW151×D145×H80mm、重量は263g。軽量なので、機器の上部に設置しても特に問題にはならないだろう。
ルータの上にクリップで固定するほか、上に載せるだけだったり、下からはさんだり、下に敷いて使ったりといった様々な方法で設置できる。ただ、動作中になにかの拍子でズレたりすることもあるだろうから、クリップではさんで固定した方が無難だろう |
ではさっそく稼動中のルータに取り付けて、どのくらい温度を下げる効果があるのかを見てみたい。なお今回は、たまたま手元にあったというだけの、問題なく動いているルータで試している。もうちょっと過酷な環境に設置した古めのルータあたりで試せば、今回試した以上の結果も期待できる。"熱"の低減ができるだけに、長期的に使えばルータの製品寿命を伸ばすのにも効果的だろう。
違うルータでも試してみた。今度は先ほどのルータよりも本体サイズが大きめなので、Dr.COOL無しでも温度は32度と低め |
続いてDr.COOL有りの温度。最初の温度が低かったにもかかわらず、29度までしっかり下がっている |
ルータ専用と言いつつ、ルータ以外にも結構使える
さて「Dr.COOL」。ルータ専用とうたってはいるが、クリップではさむ方式に柔軟性があるため、ルータ以外の機器の冷却にも使えそうな感じである。具体的には、クリップの稼動範囲から、前述の通り190mmくらいまでははさむことができる。せっかくなので、手近にある冷やすと"良さげ"な機器でも、Dr.COOLを試してみることにした。
ネットブックに取り付けてみた。意外とぴったりはさめる。Dr.COOL無しでパームレスト付近をはかると33度 |
Dr.COOL有りの温度だと28度まで下がった。ノートPCクーラーの代替品としてもイケル感じだ |
悪ノリしてCPUクーラーのヒートシンクに直で設置してみた。ヒートシンクの温度はDr.COOL無し38度 |
Dr.COOL有りだと32度。風の向きも考えずに適当に設置したが、結構下がる。オーバークロック時だけDr.COOLを追加して手軽に冷却強化なんて使い方もいいかもしれない |
以上のような具合で、ルータ以外の機器でもDr.COOLの恩恵を受けられそうである。ルータやモデムを冷やす製品としても優秀だが、使い道はユーザーのアイデア次第で、試行錯誤するのもちょっと楽しい。価格も実売で2,980円と手ごろなので、暑い夏に、転ばぬ先の杖的に1台確保しておいても損の無い製品だろう。