ソニーは13日、都内でサイバーショットやハンディカムなどの2011年春モデルを発表した。ビデオとスチルカメラが同時に発表され、合計で18機種もの新製品が一斉に発表されるという、大規模な発表会となった。

デジタルカメラ、ビデオカメラなどのデジタルイメージング商品シェアで3割を目指すと意気込みを語るのは、ソニーマーケティング デジタルイメージングマーケティング部統括部長の下野裕氏。「カメラとしての本質価値の追求、フルハイビジョン動画対応の強化、3D撮影対応の強化、撮影後の楽しみをより充実という4本柱で、2011年のソニーのカメラはさらなるチャレンジをしていく」と語った。

今回のサイバーショット、ハンディカムは、新世代の裏面照射型CMOSセンサーを投入した。従来サイバーショットは、画素数1000万画素、1200万画素といったクラスのイメージセンサーが中心だったが、今回は一気に1600万画素にジャンプアップ。より一層の高精細画像が期待できるという。

ハンディカムは、従来アスペクト比4:3のイメージセンサーを使用していたが、今回、新開発の16:9型に変更。イメージサークルを有効に使うことで、画素数アップも含めて約1.5倍の高精細化を実現しているという。また、イメージサークルを有効に使うことにより、光学ユニットの性能はほとんど同じながら、広角化も実現している。

近年、大画面フルハイビジョンテレビの普及により家庭での視聴環境に劇的変化が見られ、ハイビジョン動画へのニーズが急増しているとという。そこで今回発表されたサイバーショットの春モデルでは、すべてのモデルでハイビジョン動画の撮影に対応。また、家庭に普及しはじめた3Dコンテンツに関しても、静止画撮影での機能強化とともに、3D動画対応モデルにも注力した。

一方で、デジタルカメラやビデオカメラでは撮りっぱなしになりがちで、その後のコンテンツ活用がなかなか上手にできないというニーズに応え、写真・動画投稿サイト「α cafe web」を2011年2月にオープンする。またPlayStationストアでは、PS3で2D/3D写真管理・鑑賞ができるアプリケーション「PlayMemories」を2010年9月より無償提供しているが、さらにAVCHD動画管理アプリケーション「Filmy」を2011年2月中旬より提供するという。こちらには無償体験版と有償版がある。従来のパソコンやBlu-rayレコーダー以外に、Webやゲーム機も取り込んでの展開に注目したい。

下野裕 ソニーマーケティング デジタルイメージングマーケティング部 統括部長

これからのチャレンジとして掲げられた4本柱。話題の3Dにも対応していく

新開発の裏面照射型CMOSセンサーを技術的な軸に、大幅な画質改善が見込まれる

写真画質・フルハイビジョン動画を強化するサイバーショット

サイバーショットは、今まではイメージセンサーにCCDを採用したモデルが多かったが、2011年春モデルからは新開発の1620万画素 裏面照射型CMOSセンサー搭載モデルが中心となる。この高感度CMOSセンサー「Exmor R(エクスモア アール)」と、ソニー独自の重ね合わせ技術(1度のシャッターで何枚も撮影し合成する)により、大幅な高感度ノイズ低減や逆光補正が実現するという。動画画質に関しても、1620万画素で撮影するフルハイビジョン動画と共に、ハンディカムで培った光学式手ブレ補正や暗所でのノイズリダクションなどを投入することで、さらなる高画質を実現しているとのこと。

ラインアップは、コンパクトのWXシリーズ、高倍率ズーム搭載のHXシリーズ、タッチ操作のTXシリーズと、ユーザーのニーズに合わせて棲み分けた。2月から始まるDSC-WX7のテレビCMには、沖縄を舞台に、実際にWX7で撮影されたフルハイビジョン映像が使われるという。

DSC-WX10は、F2.4の明るい7倍ズームレンズを搭載し、約0.1秒の高速AF、アクティブモードに対応した光学手ブレ補正などが特徴

DSC-WX7はサイバーショットのテレビCMでも活躍する。厚さ19.1mmのコンパクトボディながら、光学5倍ズームレンズを搭載する

DSC-HX7Vは光学10倍ズームレンズを搭載。アクティブモードに対応した光学手ブレ補正を備え、GPS・コンパス機能で撮影したデータに位置情報を埋め込むことができる

DSC-TX100Vは光学4倍ズーム、静電容量式タッチパネルを採用した。動画は1080/60p記録に対応。GPS・コンパス機能を搭載する

DSC-TX10は、5m防水のほか、耐衝撃・耐低温・防塵を実現。裏ブタを開けると、防塵・防水用にシーリング材が付いているのが分かる

レンズ、イメージセンサー、画像処理エンジンまでダブルで搭載する3Dハンディカム

今回もっとも注目を集めたのが、3D対応ハンディカム「HDR-TD10」だった。TD10は、レンズ、イメージセンサー、画像処理エンジンまでも2セット搭載する2眼ビデオカメラだ。

記録映像はサイドバイサイドではなく、同期するフルハイビジョン動画2つを1つのファイルとして記録する独自形式を採用。そのため、現在のところ3D映像を撮影しても本体でしか再生することはできない。しかし搭載している3.5型液晶パネルは裸眼3Dに対応。3Dの雰囲気を味わいながら撮影できるようになっている。3D撮影・再生時でも、通常の2D画面として表示させることも可能だ。また、3D撮影時にも光学10倍ズーム、光学式手ブレ補正アクティブモード(ワイド端のみ)の恩恵が受けられる。

HDR-TD10は3D撮影ハンディカム。裸眼3Dに対応する3.5型液晶122.9万ドットの液晶パネルはソニー製

撮影した3D映像は約30cmの距離で見るのがよいという。3D撮影時は、顔認識や追尾フォーカスなどは機能しない

光学10倍ズームを搭載。残念ながらワイコンやテレコンなどは使用できない。音声は5.1chサラウンドマイクを採用

横に平たい形状だが、通常のビデオカメラと同じ感じでホールドできる。内蔵メモリーは64GB

液晶モニター収納部の右端に配置されるのが、ディスプレーの2D/3D切り替えボタン

3D撮影時でも2D表示が可能。2D/3D撮影モードの切り替えは背面にある

プロジェクターを内蔵したハンディカムが登場

TD10を含め、今回のハンディカムシリーズは新開発の16:9型「Exmor R」CMOSセンサーを搭載。従来機では動画撮影時の有効画素数が415万画素だったが、614万画素までアップ。同様に動画撮影時の静止画同時撮影も約830万画素相当から約1230万画素相当に引き上げられた。実際、従来機(CX550V)との比較映像を見ると、全体的なトーンは同じながら、ディテールの再現性の違いが際立っていた。

ユニークだったのが、「HDR-PJ40V」「HDR-PJ20」という新しくラインアップされた製品で、なんと液晶モニター部に最大60インチ(3m)まで投射可能なプロジェクターを搭載してしまった。プロジェクター部は明るさ最大10ルーメン、解像度は640×360ピクセル、コントラスト比は1500:1を実現している。撮影後は、イベントビュー画面から「ハイライト再生」を使用することで、選択したイベントのショートムービーが楽しめる。

HDR-CX700V(左)とHDR-CX560V(右)。外見的な違いはビューファインダーの有無。メモリー容量はCX700Vが96GBでCX560Vは64GB。それ以外の基本性能は同じという。フルデジタルアンプ「S-Master」&クリアフェーズ搭載の高音質ステレオスピーカーを搭載している

プロジェクターを搭載するHDR-PJ40V。PJシリーズには新開発Exmor Rは搭載されない。右は投射デモ。プロジェクターと液晶モニターは排他利用となる。また、投射することができるのは撮影した映像のみで、一般的なプロジェクター代わりには使えないという

ブロギーにも3D対応モデルが登場

ブロガーに人気の「ブロギー(Bloggie)」にも2つの新製品がラインアップした。「Bloggie Touch(MHS-TS20K)」は、タッチパネル操作が特徴。スマートフォン感覚で操作でき、手になじむボディの質感が好印象だった。「Bloggie 3D(MHS-FS3)」は3D撮影に対応。視差バリア方式の2.4型液晶を採用し、裸眼でも3Dを楽しめるようになっている。

Bloggie Touch。USB端子を内蔵し、撮影したデータを共有サイトに簡単にアップロードできる。内蔵ソフトはMacにも対応する

動画も写真も3Dで撮影可能な「Bloggie 3D」。3Dはサイドバイサイド方式。YouTubeなど3Dコンテンツ対応サイトに簡単にアップできる

カラーバリエーションも合わせると、驚くほどの数になるソニーの春モデル