ソニーは、International CES 2011の会場でプレスカンファレンスを開催し、3D製品をさらに強化していく戦略を示した。同社のハワード・ストリンガーCEOは、「2011年は3Dがパーソナルになる」と指摘し、3D対応端末からコンテンツまで、幅広い3D製品を投入していく考えだ。
ハワード・ストリンガーCEO。かけているのは3Dメガネ |
カンファレンスの冒頭には、3D映画THE GREEN HORNETの主演Seth Rogen氏とJay Chou氏が、映画内で使われている車と共に登場 |
現在、3D製品としては映画館で上映される3D映画、3D対応テレビやBDプレイヤーといったものが主流だが、ストリンガーCEOは「我々は世界を2Dでは見ていない。3Dの中に生きている」と話し、3Dがユーザーに訴求できる製品であると強調。ソニーの吉岡浩副社長は「ソニーは3D製品のバリューチェーンをすべて備える唯一の企業」と述べ、積極的に3D製品を投入していく意向だ。
3D映画、3D対応テレビやBDプレイヤー、3Dゲーム、プロ向けの4Kデジタルシネマプロジェクションなどに加え、米国では3Dテレビ番組も順次拡大する。さらに「パーソナルになる3D」を目指し、コンシューマが自分で3Dを作成して楽しむための製品を投入する。今回3D対応するのは、デジタルビデオカメラのハンディカムと低価格ビデオカメラのBloggieで、デジタルカメラのサイバーショットシリーズでも3Dパノラマ撮影機能を拡大していく。
また、ノートPCのVAIOシリーズでも3D対応パネルを搭載し、撮影した3D映像や写真をPCで楽しんだり、テレビの大画面に映して閲覧することができるようにする。
「これだけでは十分ではない」と吉岡氏。ソニーはさらに研究開発を続けており、プロトタイプとして今回は3D対応のヘッドマウントディスプレイ、裸眼立体視対応の10.1インチ液晶搭載ポータブルBDプレイヤー、56インチ、46インチ、24.5インチの裸眼立体視対応3DTVを出展している。56インチは4Kパネルを採用しているという。
ストリンガーCEOは、毎月1億8,000万近い米国のインターネットユーザーがネットで動画を閲覧していると話し、インターネットTVの必要性を強調。2011年には6,500万台のインターネットTVが発売されると予測されており、2014年までにはそれが2億台以上まで拡大すると見ている。それを踏まえ、ソニーでは「テレビを再定義する」と銘打ったキャンペーンを実施する計画だ。
「テレビを再定義する」ためのテレビとしてCESで発表されたのは、高画質化エンジン「X-Reality PRO」や進化したMotionFlow技術を搭載し、ダイナミックエッジ型のLEDバックライト、フルHDの3D/2D映像が表示可能なHX920シリーズなど27機種。3D対応やインターネット対応をさらに強化した形だ。
Blu-ray Discプレイヤーとしては、3D対応で無線LANを内蔵、DLNAにも対応し、テレビの大画面を使ったSkypeでのビデオチャットもサポートしたBDP-S780を用意する。
3D対応のVAIOは、第2世代のIntel Core i7、BDプレイヤーを内蔵し、HDMI経由で3DTVへの出力も可能。2D映像を3Dにリアルタイム変換することも可能で、1,700ドルから。
これまでは、写真やビデオをデジタルで撮影し、大画面で閲覧し、それを共有する、という流れがあったが、今後はこの流れを3Dでも実現するのが狙いだ。そのため、「世界初」というコンシューマ向けの3D対応ハンディカムを投入。2つの撮像素子と2つの画像処理エンジン、2つのレンズを備え、少々大振りなボディだが、外付けレンズなどをつけなくても3Dの撮影が行える。光学10倍ズーム、3.5インチ液晶を搭載するなどした。3.5インチ液晶は裸眼立体視に対応している。通常の2Dハンディカムでは、液晶部の背面にプロジェクタを内蔵した製品も発売する。
若者向けの低価格ビデオカメラとして発売されたBloggieでも3D撮影に対応する。背面のレンズが2つあり、フルHDの3D動画を撮影できる。510万画素のセンサーに裸眼立体視対応の3D液晶を搭載している。250ドルと低価格なのも特徴だ。
コンパクトデジカメのサイバーショットでは3D動画の撮影はできないが、ミラーレスカメラのNEXシリーズで実現した3D写真撮影機能を搭載した。動画撮影で1080p/60fpsのフルHD動画の撮影もサポートする。
3Dには非対応だが、HDMI端子を搭載してテレビとの接続性を強化したスマートフォンXPERIA arcも発表された。非常に薄いボディに4.2インチの大画面を採用。スマートフォンとしては初めて高画質化エンジンとしてMobile BRAVIA ENGINEを搭載した。最新のOSであるAndroid 2.3 Gingerbreadを搭載した高機能端末だ。世界で第1四半期にも発売する。
コンテンツから幅広い端末まで、一貫した製品を提供できるソニーならではの「ネットワークにより統合化されたソニーのエクスペリエンス」(平井一夫執行役EVP)がポイントだ。コンテンツでは映画だけでなく、PlayStation Network経由でQriocityから7つの3D映像タイトルを配信する。グランツーリスモ5、KILLZONE 3を始めとした3Dゲームも提供する。
Qriocityでは音楽配信のMusic Unlimited by Qriocityもスタートさせるなど、コンテンツ配信をさらに強化していく計画。平井氏は、ソニーの総力を上げてモバイル事業の強化も図る意向を示し、統合化されたソニーのエクスペリエンスを担うスマートフォンやタブレットを提供していく考えだ。