Droidシリーズなど、Android端末の好調ぶりが伝えられる米最大手携帯キャリアのVerizon Wireless。だがVerizonが扱うスマートフォン全体の伸びは2010年第1四半期の270万台から第3四半期に330万台だったのに対し、ライバルの米AT&TはiPhoneの販売台数のみで同時期に270万台から530万台まで伸ばしており、iPhoneの成長ぶりが際立つ形になっている。そのため、Verizonにとっては現在AT&Tの独占販売状態になっているiPhoneの販売権を入手できるかが死活問題となりつつあり、噂に上っているCDMA版iPhoneの登場が待たれる状態だとアナリストらに指摘されている。

今回の比較データをレポートしているのはAsymcoだ。同社はAppleが公表している公式データ、米ITG Investment Researchが発表したVerizon WirelessのPOS集計データ、そしてAsymco自身が集計したデータを基に、販売データの分析を行っている。Verizon Wirelessが現在扱っているスマートフォンはBlackBerryのほか、Windows Mobile端末、Palm等のwebOSデバイス、そしてAndroid端末だが、BlackBerryやwebOSデバイスは販売数がしだいに落ちているのに対して、Androidの伸びがスマートフォン販売全体の落ち込みを抑え、販売数を押し上げている形となる。だがiPhoneと比較するとその伸びの差は歴然で、販売数だけで2倍以上の差があり、さらにiPhone 4が発売された第3四半期以降は2.5倍以上の差がついている。

Asymcoはいくつかのポイントを指摘しており、まず単体でベンダーとしてのAppleとiPhoneに対抗できている端末がVerizon Wirelessに存在せず、現状のAndroid端末ではまだiPhoneと競合するに至っていないという。そして結果として、iPhoneの存在がVerizonにおけるスマートフォン販売の機会を奪い去っているというのだ。もちろん、iPhone販売の多くがリピーターによる端末の買い換え需要であることも認めているが、それらは他の携帯キャリアや端末にも言えることで、iPhoneの販売増がAT&Tの業績増に貢献していない理由にはならないとしている。そうしたうえで、Verizonは新たな戦い方を考える段階にきており、その武器の1つがiPhoneというのがAsymcoの意見だ。