ソニーのデジタル一眼カメラ「α55」は、高速なオートフォーカスや連写機能に注力したユニークなカメラ。このα55を試用できたので報告したいと思う。α55の価格はオープンだが、マイコミ価格情報でズームレンズキットの最安値は6万7800円、平均価格は約8万5000円となっている(いずれも2010年11月上旬現在)。

連写のためのトランスルーセント

α55の特徴は、なんといっても「トランスルーセント」を採用していること。通常はミラーが上下することで光学ファインダー(+AFセンサー)と撮像素子への光の経路を切り替えるが、トランスルーセントは半透明のミラーを使用することで、撮像素子(CMOS)とAFセンサーに同時に光を導くシステム。ミラーを上下に駆動する必要なく、常にピントを合わせ続けることが可能になる。これによって秒10コマという高速な連写を可能にした。

このトランスルーセント、過去に高速連写を重視したフィルムの一眼カメラでも採用されたことがある。しかしファインダー像が暗いなどのデメリットもあり、自然に消滅した。対してα55は光学ファインダーではなく、撮像素子に映った像をファインダーで表示するEVFを採用。トランスルーセントミラー(ミラーといってもガラスではなく、非常に薄い"膜"を使用している)によって上部に導かれる光はオートフォーカスのためだけに使用されることになる。

オートフォーカスはライブビューで一般的なコントラスト検出ではなく、高速な位相差式となる。そのためライブビューやEVFながら、ピントは特定のポイントで合わせるという、ちょっと変わったスタイルになる。AFポイントは菱形に並ぶ15点。そのうち中央の3点は高精度なクロスセンサーを採用している。

連写・フォーカス機能以外は、ソニーの標準的な最新機能を搭載している。ハイビジョン動画機能はもちろん、一振りでパノラマ撮影が可能なスイングパノラマ、顔検出やスマイルシャッターなどが可能だ。また、一度に複数の画像を撮影し、重ね合わせることでノイズを低減するマルチショットNR(ノイズリダクション)や、ぶれを抑える手持ち夜景モード、ダイナミックレンジを広げるオートHDRなども搭載している。とは言うものの、α55の特徴は、やはり高速連写・高速オートフォーカス機能にある。プロ用ではない一般向けカメラで、こういった特徴を前面に出したユニークなカメラである。

α55のボディは非常にコンパクトにまとまっている。機動力はカメラにとって大きな武器

背面。モニターが非常に大きいため、背面に置かれるボタンは必要最低限

上面。モードダイヤルやシャッターボタンは当然として、Dレンジオプティマイザーのボタンまで装備する

ミラー部分を見る。通常のミラーのように見えるが、実は極めて薄い樹脂の膜

ミラー部を横から見る。これは通常の撮影状態

撮像面のクリーニング用にミラーを跳ね上げた状態。あまり開けないほうがいいだろう

撮影時のモニター画面。非常に多くの情報が表示される。EVFでも同じものが見られる

アドバンスオート(AUTO+)では状況を判断して撮影モードが自動的に切り替わる。これはマクロモード

いわゆるシーンモード。ポートレートや風景など、8つのモードから選択する

ソニーの特徴のひとつ、スイングパノラマ。カメラを一振りするだけでパノラマ撮影が可能

動画撮影時の画面。もちろんフルハイビジョンでの撮影が可能

動画の記録方式はAVCHDとMP4から選択できる