"写真の日"である1日、都内にて2009年4月1日から2010年3月31日までに国内で新発売された199機種を対象とした「カメラグランプリ2010」の授賞式が行われた。

カメラグランプリ2010は、写真・カメラ雑誌の記者によるカメラ記者クラブ(2010年5月現在13誌)が主催し、1年間に日本国内で新発売されたスチルカメラの中から最も優れたカメラを選び、表彰するもの。

既報の通り、「大賞」と一般ユーザー選考による「あなたが選ぶベストカメラ大賞」に選出されたのは、オリンパスのマイクロ一眼「E-P1」。また、大衆性、話題性、先進性に特に優れた製品に贈られる「カメラ記者クラブ賞」には、キヤノンのマクロレンズ「EF100mm F2.8L マクロ IS USM」と、ソニーのイメージセンサー「裏面照射型 CMOS イメージセンサー "Exmor R"」が選ばれている。

新規格のマイクロフォーサーズシステムを採用したE-P1の開発を担当した、オリンパスイメージング 開発本部 SLR担当 統括部長 朝倉康夫氏は、「次世代の一眼はどうあるべきかを考えてきました」と開発経緯を振り返り、その想いが「マイクロフォーサーズ規格により芽を吹いた」と語った。

オリンパスイメージング 開発本部 朝倉康夫氏。不要な要素を削ることで小型化を実現したE-P1だが、コンパクトデジカメからのステップアップユーザーにとっては重要な「手ブレ補正」など「削ってはいけない性能を残すため、徹底的に議論して出来上がった」という

また、「新規格を採用するだけではなく、手軽に持ち運べるうえに、触って楽しく、自分を表現できるカメラを目指した」というE-P1では、「外観のデザイン、仕上がりはもっとも力を入れたところ」。開発中に制作された幾つかのモックアップの中でも、約50年前につくられたハーフサイズカメラ「PEN」をモチーフとしたタイプは、同社の若手や女性社員にも「新しく魅力あるカメラ」として支持されたと明かし、「50年前を再現しようとしたのではなく、最も新しいカメラをつくろうとしたデザイン」と話していた。

マイクロフォーサーズ規格を採用した「E-P1」。E-P1には「持っていること、使っていることが楽しいカメラ」という声が寄せられていると言い、朝倉氏は「今後もお客様に喜んでいただける製品開発に取り組みたい」と笑顔を見せた

続いて登壇したのは、キヤノンのマクロレンズ「EF100mm F2.8L マクロ IS USM」を手がけたキヤノン イメージコミュニケーション事業本部 レンズ開発センター所長 金田直也氏。角度ブレだけではなく、シフトブレも補正する、ハイブリッドISにより手ブレ補正を進化された同レンズでは、「100mmマクロレンズのリニューアルということで、開発メンバー一丸となって取り組みました」。発売時期が決まっていたため、「時間との戦いだった」という開発の日々では、失敗に終わった試作機のアルゴリズムをブラッシュアップするため数十万枚の写真を撮り、手ブレ補正が機能しているかをパソコンで拡大してチェックして…と「膨大な時間と熱意を費やした」という。

「世の中に出たときに"いいね"と言われる、長く愛されるレンズを開発していきたい」とキヤノン イメージコミュニケーション事業本部 金田直也氏

「安かろう悪かろうの代名詞のようなセンサーをベースとしながらも、情熱をもってつくりあげたのがExmor R」とソニー パーソナル イメージング&サウンド事業本部 田中健二氏

さらに、裏面照射型 CMOS イメージセンサーを開発したソニー パーソナル イメージング&サウンド事業本部 イメージング第2事業部 商品設計部 担当部長 田中健二氏は、「社内でも商品化実現に対して保守的な声が出ていた時期に、Exmor Rで撮影した1本のデモテープを見て、"こんな暗いところでこんなにキレイに撮れるのか"と衝撃を受けました。それを元に経営陣に訴えたのです」と新イメージセンサー誕生秘話を明かし、「常々、多くの人に多くの機会で使っていただける製品をつくっていきたいと思っています。これからもカメラ業界の発展に寄与していきたい」と意気込みを語っていた。

キヤノンのマクロレンズ「EF100mm F2.8L マクロ IS USM」

ソニーのイメージセンサー「裏面照射型 CMOS イメージセンサー "Exmor R"」とExmor R搭載製品