米Adobe Systemsは6月1日(米国時間)、雑誌出版社が印刷版の制作データからタブレットデバイスをターゲットにしたデジタル雑誌を展開できるようにする「Digital Viewerテクノロジ」を発表した。これは米Conde Nastが5月26日(同)に提供開始したiPadアプリ雑誌WIREDの構築に用いられた技術だ。InDesign CS5でのレイアウトをiPadアプリに変換するソフトウエアツールを、Adobe Labsを通じて今年夏に提供開始するという。
Adobeは同日にデジタル版の雑誌/書籍/新聞の出版ソリューション「Digital Publishing Platform」を明らかにした。雑誌向けにはCreative Suite 5を土台にDigital Viewerテクノロジなどを組み合わせ、タブレットデバイスや電子書籍リーダーなどにおいて「印刷版のインパクトのあるデザインに、タッチスクリーン操作、動画/オーディオ/アニメーションなどインタラクティブ要素を組み合わせた新たな読書体験を実現する」という。Creative Suite 5ベースなので、デザイナー、編集者、制作チームは使い慣れたツール(InDesign CS5)とスキルを、そのままデジタル版の制作に活用できる。またOmnitureのアクセス解析技術を用いて記事や広告に対する読者のデータを収集し、それらをコンテンツ編集や広告制作のプラニングに活かせるなど、Web媒体のメリットが雑誌にももたらされる。
Objective-Cの開発ソリューションを用意
まずはiPad向けツールの提供が優先されるが、今年秋にはDigital PublishingテクノロジをiPad以外のタブレットデバイス、スマートフォン、ネットブック/ノートPCにも拡大する。iPadを含むマルチプラットフォームの開発環境の実現がAdobeの最終的な目標である。Digital Publishing Platformでは、iPad向けにObjective-Cの開発ソリューションを用意し、パソコンまたは他のモバイルデバイス向けにはFlash/AIRによるソリューションを展開するという。FAQページでは「Apple Developers License Agreementに記されたルールに従う形でObjective-Cで記述するソリューションの開発を継続する」としている。Adobeはまた、同プラットフォームでのHTML5のサポートも表明している。