ソニーからサイバーショットの新製品「DSC-HX5V」「DSC-TX7」が出た。TransferJetにフルHD動画は両機共通で、GPSと広角25~250mm「Gレンズ」搭載の「DSC-HX5V」、25~100mm「カール ツァイス バリオ・テッサー」レンズとタッチパネル搭載の「DSC-TX7」だ。注目機能が満載の両製品だが、今回、DSC-HX5Vを試用してみた。

デジタルカメラの写真を撮って、その後どうするのか、というと、たいていの人はPCに画像を取り込んでいると思う。最近はメモリカードが大容量になって、記録画素数を小さくしてしまえば何千枚と撮れてしまうけど、それでもやっぱりPCには取り込む場合が多いはず。

こちらはスリムスタイリッシュな「DSC-TX7」

そういうとき、どうするかというとカメラからカードを取り出してPCのカードスロットに指すか、USBケーブルでカメラとPCをつなぐというのが一般的だと思う。カバーを開けて、カードを取ってPCのリーダーに差し込んで……なんて作業は時代遅れ、になりそうな技術が登場したのだ。

普通に撮った画像を取り込もうと思ったら、こうしてカバーを開けてカードを取り出すか、USBケーブルを接続しなくちゃいけない

それが「TransferJet」。正確には、同時発売のメモリースティックPROデュオ「MS-JX8G」にTransferJet機能が搭載されており、それと併用することで利用できるようになる。

カバーに付いた羽根のようなアイコンがTransferJetの目印

TransferJet対応カードのMS-JX8G。8GBの容量があるので普通のカードとして常用できる

TransferJet自体は、ごく近い距離での無線通信を行うもの。赤外線通信とかおサイフケータイのFeliCaと似たようなものだけど、一番の違いはスピード。とにかく転送が速いというのが売り文句だ。

最大の実効速度は375Mbpsと圧倒的で、画像や動画も楽に転送できる。赤外線やFeliCaはスピードが遅く、高解像度画像の転送にはあまり向かないので、これだけのスピードが出れば実用的。

無線通信はほかにも無線LANとかBluetoothがあるのだけど、こちらは接続するためにはいろんな手続きが必要になる。無線LANだったらESSIDとか暗号化がどうとか設定するし、Bluetoothでもペアリングだパスコードだといった作業をしなければならない。

その点、TransferJetは設定いらず。DSC-HX5Vの設定画面でTransferJetを「入」にして対応カードを挿しておけば、あとはいつでも使える。

TransferJetの設定はこれだけ。あとは再生モードにすると、自動的にTransferJetが動作する

試してみたのは、TransferJetのリーダーをUSBで外付けするドックステーション「TJS-1」と、ノートPCにTransferJetリーダーを内蔵する「VAIO F」。使い方は、DSC-HX5Vを再生モードにして、受信部の上に置くだけ。PC側には普通のUSB機器として見えるらしく、Windowsだと画像の取り込み画面が立ち上がるので、そのまま画像管理ソフトで取り込めばいい。

USBケーブルでPCと接続するTransferJetリーダー「TJS-1」

こちらはリーダーを内蔵したVAIO F。FeliCaも一緒になっている

作業はまるで必要ないし、本体を置くだけの簡単操作というのは、思った以上に快適。人間、こういう細かい使い勝手でずいぶん気分が良くなるものだ、というのが率直な感想。そんなに極端に生活が変わるというわけではないけど、最初にSuicaで電車に乗った時みたいに気持ちがいい。

実効速度は375Mbpsだが、実際の速度はそこまで出ていない印象。USBでカメラに直結したりカードリーダーを使ったりした方が速度が出るが、カメラを置くだけの手軽さと速度のどちらをとるかというだけなので、スピードが欲しければカードリーダーなりを使えばいい。

PCへの取り込みを自動化しておけば、帰宅してカメラを再生モードにして、ポンとTransferJetリーダーに置き、あとは着替えている間に画像が取り込まれる。実にスマート。

こうして置くだけ

今回は試せていないが、TransferJet搭載機器同士のデータ交換もできて、これはTransferJetカードを挿したカメラ同士を近づけておけば気軽に交換できる。ケータイで赤外線交換するような感覚で写真が交換できるわけだ。

現時点で、TransferJet対応カメラはDSC-HX5Vと同時発表のサイバーショットDSC-TX7の2モデルだけだが、今後の新製品は対応してくるだろう。普及すれば内蔵カメラというのも登場してきそうで、そうなったら、撮った写真を見せ合いながら「この画像欲しい!」となってもすぐに交換できて、ケータイカメラで写メールするのとはまたひと味違ったコミュニケーションができそうだ。

ちなみに、無線通信だと勝手に画像を読み取られるんじゃないかという心配もあるが、TransferJetはごく短い距離しか通信できないのでまず大丈夫そうだ。