米国で開催中の世界最大の家電ショー「2010 International CES」で、カシオ計算機は新しいコンパクトデジタルカメラや、国内でも発表されたばかりのプロジェクターなどを出展し、来場者の注目を集めていた。
コンパクトな10倍ズームハイスピードモデル
CESで米カシオが発表したデジタルカメラは4種類。いずれもまだ国内では未発表の機種となる。1機種目の「HIGH SPEED EXILIM EX-FH100」は、高速連写などが特徴のハイスピードモデル。撮像素子には裏面照射型CMOSセンサーを採用。有効画素数は1,010万画素で、レンズには35mm判換算で24~240mmの光学10倍ズームレンズを搭載する。
広角レンズの光学10倍ズームを搭載しながら、本体サイズは約106.4×63.2×29.7mmとコンパクトボディを実現している。高速連写機能では、900万画素の場合で最大40コマ/秒の高速連写が可能。さらに最大1,000fpsのハイスピードムービーの撮影にも対応している。 高速連写機能を生かし、画像を合成してノイズの少ない暗所撮影を可能にする「High-speed Night Scene and Portrait(ハイスピード[HS]夜景と人物)」などの機能も継続して搭載。それに加え、720pのHDムービー撮影機能も搭載している。
進化したダイナミックフォト搭載の「EXILIM」シリーズ
ハイスピードモデルではない残りの3機種「EXILIM Hi-ZOOM EX-H15」「EXILIM ZOOM EX-Z2000」「EXILIM ZOOM EX-Z550」は、いずれも「EXILIMエンジン5.0」を搭載し、30%の高速化、低消費電力を実現しているという。連写画像から動きのある部分を切り出した動画と静止画を組み合わせる「ダイナミックフォト」では、新たに動画と動画を組み合わせることが可能になったため、さらに動きのある画像が作成できるようになった。
また、「Premium Auto」機能を搭載。従来のBS(ベストショット)のようにシーンを選ぶのではなく、カメラが自動でシーンを認識して最適な撮影設定をしてくれる機能となっており、ピクセル単位でシーンが解析され、例えば前景の人物には美肌補正を、背景の夜景には人物と異なるホワイトバランスを設定したり、青空と緑の木々ではそれぞれ異なる色を強調する、といった具合に、よりシーンに適した設定を自動で行ってくれる。ISO感度やフォーカス位置、露出、ノイズリダクションのレベルなど、さまざまなパラメーターが細かく設定されるそうだ。
撮影した画像を絵画風に変換する「Art Shot Function」もBSに追加された新機能だ。撮影時にリアルタイムで絵画風の画像処理を行っており、それを見ながら撮影すると、写真がまるで絵画のように記録できる、というわけだ。油絵・水彩画・クレヨン画という3種類のモードが用意されている。
その他のスペックとしては、撮像素子はいずれも有効1,410万画素CCDを搭載。レンズはEX-H15が24~240mmの光学10倍ズーム、EX-Z2000が26~130mmの光学5倍ズーム、EX-Z550が26~104mmの光学4倍ズームを搭載。EX-H15/Z2000は3型46万ドットのスーパークリア液晶、EX-Z550が2.7型液晶を採用する。
GPS内蔵で現在地を記録できるカメラ
ブースでは、GPS内蔵デジカメがプロトタイプの形で出展されていた。これは、光学10倍ズームを搭載した「EX-H10」をベースにGPSアンテナを搭載したもので、GPSによって現在地を測位し、撮影した画像のExif内にデータを記録してくれる。
GPSの測位は、電源オフの間も常時行われ、撮影時には素早く現在地が測位できる。さらにモーションセンサーを内蔵したことで、GPSの電波が届かない場所に入った場合でも、センサーが移動を検知して現在地を更新し、それを記録してくれる。センサーによって撮影した方角も把握できるそうだ。そのままGPS電波の届く場所に移動すると、再びGPSでの測位が行われるので、確実に現在地を把握し続けられるのがメリットだ。
収録されたサンプルは赤い丸で示される。画像を拡大して表示することも可能。地図は、ある程度道の形が分かるくらいまでは拡大できる |
モーションセンサーを内蔵するため、歩数計としても利用できる。ちなみに、青い丸が撮影した画像がある部分で、白く欠けているのは、撮影した方角を示している |
カメラ内には世界の地図データも収録しており、カメラ内で撮影場所を確認できる。また、特定の撮影場所のサンプル画像も内蔵し、地図上に表示することも可能。観光地などでどういった被写体があり、どういった写真が撮れるかといったサンプルとして利用することが可能だ。サンプル画像は、現時点では1万枚が収録されているという。
あくまでプロトタイプのため、製品化などは未定だというが、すでに動作するモデルも作られており、今後の商品化を期待したい。
写真を絵画に変えるフォトフレーム
新たに投入されるデジタルフォトフレーム「Digital Art Frame」も特徴的で注目を集めている。10.2型WSVGA液晶を搭載する同機は、SD/SDHCカード、またはUSBメモリーから読み込んだ画像に対して、リアルタイムで画像処理を行い、絵画風に変換して表示することができるのが最大のポイントだ。
1枚あたり、最大で15秒ほどの時間がかかるそうだが、油絵や水彩画、スケッチ、点描、エアブラシ、野獣派(フォーヴィスム)風といったスタイルが用意されており、写真を絵画風に変換しながらスライドショーを楽しむことができる。
ダイナミックフォトで撮影した画像を変換することも可能で、さらに同機にはダイナミックフォト機能を内蔵しており、取り込んだ静止画に対して、あらかじめ内蔵されたアニメーション素材を合成して表示し、それをさらに絵画風に変換する、といったこともできる。
無線LAN機能も内蔵し、インターネット経由で素材をダウンロードできるようにするほか、メールや画像共有サイトなどネットワーク経由でも画像を取り込めるようにすることも検討しているそうだ。
そのほか、ステレオスピーカーや2GBの内蔵メモリーを搭載。取り込んだ画像に対して適用された絵画風の変換結果を保存することも可能だ。
世界初の水銀レスプロジェクター
プロジェクターには従来、光源の明るさを確保するために水銀が使われていたが、それを世界で初めて取り除き、環境に配慮した画期的な新製品として「グリーン スリム プロジェクター」も発表された。
光源にはレーザーとLEDを採用。モデルによって2,000~3,000ルーメンの明るさを実現しており、A4サイズのボディに約43mmの薄さを実現。さらに、従来のモデルに比べて電源オン時にすぐに明るくなり、電源オフ後も、すぐに再起動できるという。
明るさと解像度によって5モデルに分けられており、表示解像度1,280×800・3,000ルーメンのXJ-A255から、1,024×768・2,000ルーメンのXJ-A130まで用意されている。
国内では登場していない製品も展示されていた。こちらはタフネスデジカメ「EX-G1」 |
フルキーボードを搭載した携帯電話「C741」。スマートフォンではないが、フルキーボードながら防水性能も備えている |