nanoの長所は、端末画面という制約の多い条件下にありながらも、Cocoa/Carbonアプリ的なスクリーンエディットが可能なことだ。上下左右のカーソルキーでカーソル位置を移動し、英数字キーのほか[delete]や[SPACE]キーを使いつつ、編集作業を進めればいい。viのようにモードを意識する必要はないし、Emacsのようにカーソル位置を真上/真下へ移動することすら(初心者には)ままならない、ということもない。

ショートカットキーも、状況に応じて表示内容が異なる画面下部のヘルプが助けになるはずで、敢えて暗記する必要はない。ファイルの保存/読み取りも、ヘルプの指示通り作業すればいい。なお、[Control]+[A]キーでカーソルを行頭/[Control]+[E]キーでカーソルを行末など、基本的なEmacsのキーバインドもサポートされている。

少しクセがあるとすれば、「行のカット&ペースト」だろう。[Control]+[K]キーを押すと、カーソル位置とは無関係にカーソルのある行がカットされ、目的位置にカーソルを移動してから[Control]+[U]キーを押すとペーストされる。複数の行を移動したい場合には、[Control]+[K]キーを数回押して複数の行をカットしてから[Control]+[U]キーを押す。Emacsともviとも操作体系が異なるため、この点には留意したほうがいい。

ファイルを読み取るときは、ファイル名の先頭文字を入力したあと[TAB]キーを押せば、同じ先頭文字で始まるファイルが一覧される

Syntaxファイルを利用すれば、このように構文ハイライト表示することも可能

■表: nanoのおもなショートカットキー(「^」は[Control]キー)
^G ヘルプを表示
^O ファイルを保存
^R ファイルを開く
^^ マークをセット(コピー先頭位置を指定)
^K マーク位置から現在位置までをカット
^U ペーストする
^W 検索を開始する(キーワードを入力)
MW 同じキーワードで検索を続行
^X nanoを終了