ニコンは7日、動画や音楽の再生からインターネット接続まで楽しめるヘッドホン型映像再生機、メディアポート「UP(ユー・ピー)」2モデルを発表。今回は、同社がこれまで一眼レフカメラなどで培ってきた光学技術、デジタル画像技術に、新たにオーディオ、ネットサービスなどの新技術を融合させた新製品の発表会をレポートする。

ニコンが目指す"ネットワーク化"

ニコン 執行役員 映像カンパニー開発本部長 風見一之氏

まず、同社 映像カンパニー開発本部長 風見一之氏が登壇し、「ニコン映像カンパニーのブランドステートメントは『At the heart of the image(アット ザ ハート オブ ジ イメージ)』です。このメッセージの目指すところは、"確かであること(Clear)"、"躍動感にあふれること(Lively)"、"時代を作り出すこと(Epoch-making)"です」と同社の製品開発における姿勢を示した。また、その中でさまざま製品を、「my Picture townを中心とした"Digital Imaging Brand"をコンセプトとして展開していきます」とし、今回発表されたUPを、「その第一歩となる商品」と位置づけていた。

「Digital Imaging Brand」としての製品展開を図る

いよいよ新製品の発表

使用イメージ

また、同氏は「ニコンはカメラ分野で多くの方に支持されていますが、デジタル化、ネットワーク化は急速に進化しています。『UP』は、(そういった時代背景の中で)ニコンが提案する視聴覚を1台で体験できる究極のモバイル機器です」と、ディスプレー、ヘッドホン、モバイルAVプレーヤー、Wi-Fi通信機能などを一体化した"世界初の製品"であるUPをアピールした。

UPという製品名称は、Universal Port、Ultimate Player、U(your) Partner、U(your) Pleasure、U(your)Powerなどの頭文字をとったもの。風見氏は、「ユーザーのパートナーとなって、いつも寄り添って役に立つ製品となるように進化させていきたいという想いをこめています」としていた。

コンテンツ配信サービス「UPLINK」の展開

製品詳細に関しては、映像カンパニー マーケティング本部 第一マーケティング部 加藤茂氏より説明があった。

ニコン 映像カンパニー マーケティング本部 第一マーケティング部 加藤茂氏

加藤氏は、UPの特長として、オールインワンでユーザーに合った視聴スタイルが選択できる「Style Free」、自由な時間と場所で視聴できる「Location&Time Free」、無線LANでコンテンツを入手し楽しめる「Link Free」という3つの"フリー"を強調。同製品は、ハンズフリーで使用できるほか、リトラクタブル・メカの採用により、視聴スタイルに合わせて、ディスプレーの位置を設定できるのも特長となっているのだ。

また、新たに開発した密着複層型DOE(Diffractive Optical Element)レンズを採用し、3m先で51型、1m先で17型相当のイメージサイズを実現。さらに、Wi-Fi通信機能を利用してインターネットに接続することで、ウェブサイトの閲覧やコンテンツのダウンロードも可能としている。

「Style Free」

「Location&Time Free」

「Link Free」

WMP(Windows Media Player)にも対応している

約92万画素の高精細ディスプレーと密着複層型DOEレンズなどを搭載

リトラクタブル・メカの採用で、ディスプレーの位置を調整できる

多機能AVプレーヤーとして活用可能

ユーザーに合わせてフィッティングも自在に

左右どちらの目でも映像を楽しめる

さらに同社では、UPユーザー向けの動画コンテンツ配信サービスとして「UPLINK(ユー・ピー・リンク)」も展開し、ソフト面でも新製品を盛り上げていくという。コンテンツ配信については「詳細は未定だが、10~20チャンネル程度のチャンネル配信を予定しています。配信は当初は無料とし、ユーザーの反応をみつつ展開していきます」とのこと。

コンテンツ用配信システム「UPLINK」

専用のサーバーに用意されたコンテンツを楽しめる

なお、上位機種である「UP300x」には、頭を上下左右に動かすことにより動画や音楽の選択およびその再生や一時停止などの操作ができる「モーションセンサー」とAV入力を装備。メモリー容量も、ベーシックモデルの「UP300」が4GB、「UP300x」では8GBを搭載している。

スピーカーの外側に操作系を集中させた「マルチセレクター」が

実際に使用してみると、右目側にディスプレーを配置した場合は、操作を左手で行うことになるが、「モニター調査の結果、操作方法などは1日程度で慣れてしまう方が多かった」という。想定ユーザーは、自己実現意欲が高く、情報発信力も高い"先進高感度層"となる25から35歳までの男性(会社員、クリエーターなど)で、「忙しい毎日を過ごしている方が、ちょっとした空き時間などに楽しめるモバイル機器」として押し出していくようだ。女性向けのデザイン展開などは、「今後の反応をみて検討していく」としていた。

デザインでは、シンプルさと使いやすさを追求

大口径40mmの高磁力ネオジウムマグネットユニットを搭載。動画は、WMV9、MPEG-1、MPEG-2、音声はMP3、WMA9に対応する

重さは約385g(付属の電池を含む)。電源は、単3形充電式ニッケル水素電池2本/単3形アルカリ電池2本/単3形リチウム電池2本

同製品はオンラインショップ「UPSTORE」のみで販売され、予約受付開始は10月15日。初回予約分出荷時期は12月中旬を予定し、価格は「UP300x」が69,800円、「UP300」が59,800円となっている。気になる方は、10月8日から12月7日まで東京・原宿の表参道ヒルズに設置された「UPLAB」にて製品を体験することができるのでチェックしてみていただきたい。今後、体験スペースは順次全国に開設予定となっている。

製品体験ができる「UPLAB」。製品デザイン画なども展示される