富士フイルムと富士フイルムイメージングは24日、デジタルカメラ「FinePix(ファインピックス)」2008年春モデル発表会を東京ミッドタウン内にあるフジフィルム本社ビルで開催した。会場には、富士フイルムイメージング社長の杉原和朗氏などが出席し、新製品紹介やマーケティング戦略などを語った。ここでは発表会の模様を中心にお伝えする。

誕生10年周年記念の「S100FS」

はじめに富士フイルムの事業部長・杉崎力氏が登場し、「2005年のFinePix F10の発売以来、キレイな写真をテーマに高感度・高画質技術をベースとした商品を展開してきました。2008年はFinePix10周年として、これまで富士フイルムが培ってきた写真技術とデジタル技術をさらに発展させ、写真メーカーならではの差別化商品を展開して市場に投入していきたい」と2008年の事業展開を語った。

続いて商品部長の守屋篤氏が製品説明を行なった。「FinePix S100FS」はネイチャーフォト、風景撮影などに最適なロングズームカメラで、今までリバーサルフィルムで撮影を楽しんできた人に向けて開発したという。

リバーサルフィルムの色再現を可能とした「フィルムシュミレーションモード」については、同社の一眼レフカメラ 「FinePix S5 Pro」に搭載された機能を、初めてレンズ一体型デジタルカメラに搭載。「フィルムメーカーである富士フイルムだからこそ、"PROVIA(プロビア)""Velvia(ベルビア)""ASTIA(アスティア)"のリバーサルモードが用意できます。風景作品で最適なフイルムを選ぶように撮影を楽しんでいただきたいとご用意しました。またポートレート撮影用として、プロ用のネガフィルム調の肌色再現を可能にするモードも用意しました」と、フィルムメーカーとしての色へのこだわりを強調した。

富士フイルム株式会社 電子映像事業部 事業部長 杉崎力氏

富士フイルム株式会社 事業部長 商品部長 守屋篤氏

発表された2008年春モデル

写真愛好家向けに開発されたS100FS。一眼レフのサブカメラとしても考慮

S100FSの上面。露出補正ボタンや操作ダイヤル、ホットシューを備える

S100FSの背面。ファインダーは約20万画素0.20型の電子ビューファインダー

背面のモニターは、90度チルトする

バッテリーはNP-140を使用。撮影可能枚数は約250枚(CIPA規格)

付属フードは、PLフィルターの使用を考慮した穴を備える

撮影メニュー。トーンやシャープネスなど細かい画質設定が可能

露出補正時にヒストグラムが表示され、ダイナミックレンジを確認しながら決定できる

高性能コンパクトや高倍率ズームなど明確な個性

もうひとつの10周年記念モデル「FinePix F100fd」は、高画質・高機能を搭載したFシリーズ。日常のスナップショットや子どもを撮りたいと思う30代ファミリーから旅行先での風景写真を撮りたいシニア層をターゲットにしている。

「FinePix S8100fd」は、35mm判換算で27~486mmの光学18倍ズームを搭載し、日常写真からスポーツ観戦など幅広いシーンをカバーするモデル。FinePixの新シリーズ 「FinePix J50/J10」は、幅広い世代に気軽に撮影できるよう、スタイリッシュなデザインと簡単な操作性を備えた低価格モデルで、「J50」は旅行やスナップなど気軽に撮りたいと思うエントリーユーザー、「J10」は気軽に持ち歩いて撮りたいと思う女性エントリーユーザーをターゲットにしているという。

F100fd。ボディカラーはブラックとホワイトの2色

F100fdの左面。ワイド端(左)とテレ端

F100fdの上面。ボディサイズは従来のF50fdに比べると若干大きくなっている

バッテリーはNP-50を採用、記録可能枚数は約230枚(CIPA規格)

光学18倍ズームを備えつつコンパクトなS8100fd

S8100fdの上面。持ちやすいグリップ部を備える

S8100fdの背面。液晶ファインダーは約23万画素0.24型、視野率は97%

一度で等倍、1.4倍、2倍ズームで記録できる「ズームアップ3枚撮り」の画面

光学5倍ズームレンズを搭載するFinePix J50

J50の背面。モードダイヤルは分かりやすいアイコンで表示

薄さわずか19mm(最薄部)のスリムボディのFinePix J10

FinePix J10の背面。背面もボタンのみのシンプルナデザイン

写真メーカーとしてニーズに合わせた製品提案

新製品マーケティング戦略では、営業部長の三ツ木秀之氏が壇上に立ち、「2007年における世界のカメラ市場は1億台を超え、2008年は年間で1億1,000万台から1億2,000万台まで増加すると見込まれます。全世界のカメラ市場は、日本・欧州、北米などの成熟した市場とBRICs、東欧、アジアなどの成長市場と大きく二極化し、成熟した市場は買い替え・買い増し需要のため、多様化するユーザーニーズを満たすカメラを、成長市場では新規購入者のためニーズをいち早く反映したカメラ開発していきます」と語った。また、FinePix10周年を振り返り、常に世界初の新しい技術を搭載し、真の写真画質の追究をアピール。国内ユーザーの70%以上がフルオート撮影を行なっているといい、それらのニーズに応えるためどんなシーンでも簡単に高画質撮影ができるカメラ開発を目指していくという。

2008年のFinePixは、銀塩写真技術とデジタル技術を融合させた「作品撮りカメラ」、若年層、女性層に向けたデザイン性能と写真コミュニケーションを拡げる「フォトコミュニケーションカメラ」、シニア層に向けた操作性に優れた「旅カメラ」の3つの方向で製品提案をしていくことも述べた。

国内販売戦略については富士フイルムイメージング社長の杉原和朗氏が登場。国内の全てのデジタルカメラ販売台数は前年度比で118%を達成し、デジタルコンパクトカメラだけでも115%と、予想を上回って好調だという。杉原氏は、「FinePixの国内シェアは直近で12~13%程度。イメージキャラクターである蛯原友里さんの効果でZ100fd、Z10fdのZシリーズが好調です。またフラッグシップのF50fdも、購入層を従来の男性中心からヤングミセス層まで広がりました。この好調な流れで、今春の商戦は新製品でシェアを15%まで引き上げたい」と目標を掲げた。また、市場ユーザーの70%はオートモードでしか撮らない現実を踏まえ、顔キレイナビ、高感度・高画質で、"いつでも""どこでも""誰でも"キレイに撮れるカメラで、画質にこだわって開発していくという。

また、デジタルカメラの好調な売れ行きに対し、それが思うようにプリントに結びついていない現実については、「写真の原点はプリントではないでしょうか?」と呼びかけ、写真の総合メーカーとして入力から出力まで力を入れるという。2007年8月から開始したデジタルミニラボ「フロンティア」でフォトブックを作成するソフトを販売し、新たに写真店での「フジカラーフォトブックスクエア」サービスをスタートさせた。

最後にイメージキャラクターである蛯原友里さんがビデオレターで登場。「FinePix10周年おめでとうございます。この記念すべきタイミングにイメージキャラクターを務められることを本当に嬉しく思っています」と祝辞を述べ、普段からFinePix Z100をカバンの中に入れ持ち歩き、雑誌『CanCam』に掲載されるオフショットは全てこのカメラで撮影したものだという。また、今回発売された機種で作品のような写真も撮り、いつか写真展を開きたいと希望を述べた。

富士フイルム株式会社 電子映像事業部 営業部長 三ツ木秀之氏

富士フイルムイメージング株式会社 社長 杉原和朗氏

右肩上がりを続ける世界のデジタルカメラ市場。2007年は1億台を超えた

今後の製品提案は、写真愛好家向け、若年層・女性層向け、シニア世代向けの3方向

マーケティング戦略は、幅広いユーザー層にあわせたラインナップを展開

イメージキャラクターを務める「エビちゃん」こと蛯原友里さんはビデオレターで登場

タッチアンドトライコーナーでは、新しい「顔キレイナビ」の効果を実演。動画の顔に合わせて顔検出枠が移動していく

動く列車の模型を使って連写性能を体験するコーナー