1394 Trade Associationは12月12日(米国時間)、最高で3.2Gbpsのパフォーマンスを持つFireWireの最新仕様「S3200」を発表した。IEEE 1394bのプロトコルや仕様をベースにしており、同ケーブルやコネクタをそのまま利用して高速通信が可能になる。現行のFireWire規格IEEE 1394b "FireWire 800"の4倍にあたる速度と上位互換性で、ライバルのUSB 3.0を追撃する。

IEEE 1394は「FireWire」や「iLink」などの名称で知られる機器間の高速通信を実現する技術。同じくデジタル周辺機器の接続を実現するUSB 1.0/1.1が1~12Mbps程度の低速通信だったのに対し、同時期にIEEE 1394は最大400Mbpsの高速通信でストレージ間接続を実現して注目を集めた。だがUSB陣営がUSB 2.0にバージョンアップして最大480Mbpsまでの高速通信をサポートしたことで関係が逆転、その後すぐに1394陣営は800Mbps~3.2Gbps通信に対応する「IEEE 1394b」を発表して巻き返した。今回発表されたS3200はこの1394bの最新仕様にあたる。一方でUSB規格の策定・普及団体であるUSB Promotion Groupはすでに「USB 3.0」の仕様策定を進めており、2010年以降に現行USB 2.0の10倍となる最高4.8Gbpsの通信実現を目指している。将来的なストレージのさらなる高速化をターゲットに、USB 3.0と1394b S3200が争っているのが現状だ。

2002年に最初の仕様が発表された1394bでは、従来のSTP(シールド付きツイストペア)ケーブルに加え、UTP(シールドなしツイストペア)や光ファイバなどのさまざまな伝送媒体が新たに定義された。またインターフェイスやプロトコルの見直し、ケーブルの延長(4.5メートルから100メートル)など、高速化や多目的化のためにさまざまな改良が加えられている。S3200では既存の対応装置やケーブルをそのまま流用できる上位互換が確保されており、新仕様に対応した機器の接続に際して高速通信のメリットを享受できる。1394 Trade Associationによれば、S3200は2008年1月にも裁定プロセスへと移行する予定となっている。