AMDは5日、同社が提唱する新フォームファクタ「DTX」の最終仕様が策定されたことを明らかにした。まだ種類は少ないものの、COMPUTEX会場では、いくつかDTX関連製品の展示も行われていた。

5日に開催されたAMDのプレス向けカンファレンスにて発表

DTXパートナーの各社。これ自体はCeBITの時と同じ

Albatronの「KD690-AM2」は、Mini-DTXフォームファクタのマザーボード。基本的に、Mini-ITXの「KI690-AM2」を拡張しただけの作りになっており、Socket AM2、690G+SB600チップセット、SO-DIMMスロット×2、VGA+DVI+HDMIコネクタなどの仕様は同じだ。ただ、基板が3cm長くなった分、拡張スロットはPCI Express x1とPCIの合計2本となっている。

Albatronの「KD690-AM2」。パターンの空白もあり、Mini-ITXをそのまま拡張したのが分かる

豊富なインタフェースのバックパネル。これだけ見るとKI690-AM2とほとんど区別がつかない

せっかく基板サイズが大きくなったのに、メモリスロットがSO-DIMMのままなのは少し残念なところ。これはまぁ発売時期や開発コストを優先させた結果だろうが、既存製品の拡張だけで済んでいる分、こちらは第3四半期にも出荷を開始できる見込みだ。

ところでDTXの利点について、AMDは「ATXのコスト構造で安く作ることができる」とアピールしていたのに、Mini-ITXがベースではこちらのコスト構造を引き継いでしまう。実際に、この製品はKI690-AM2と同じ8層基板になっているそうで、担当者は「出荷数にもよるが…」と口を濁したが、価格は安くはならなそうだ。

一方、「安くなければDTXの意味がない」と考えるのがMSI。今回、マザーボード製品の出展はなかったが、同社は価格帯として、「マイクロATX製品の下」と位置づけているそうで、価格は40ドル程度を想定しているとか。ただし、こちらはまだ開発中ということで、発売までにはもう少し時間がかかりそう。

ASUSは、すでに別記事で報じたように、未発表チップセット「RS740」を搭載するDTXマザーボード「M3A-MX」を展示。詳細についてはまだ不明だが、エントリー向けとされるチップセットを使っているあたり、こちらも安い価格帯を想定していることを窺わせている。

ASUSのDTXマザーボード「M3A-MX」。マイクロATXの下(写真では左側)を少し削ったような大きさだ

パネルに記載されている仕様はこれだけ。HyperTransport 3.0に対応していることは分かる

そして良く分からないのがGIGABYTEだ。自社のブースには製品を出しておらず、発売するかどうかも「マーケット次第」(担当者)と一歩引いた姿勢を見せるが、AMDのブースには、SiSチップセットを搭載したMini-DTXマザーボード「Churchill」(コードネーム)を展示しており、6月にも提供可能になるとしていた。

GIGABYTEの「Churchill」。MicrosoftのWindows Home Server向けだという。基板には「GA-2761GXDK」との記載もあった

明らかに普通のデスクトップ向けではないバックパネル。モニター出力が一切なく、LAN、USB、E-SATAがあるだけ

AMDのスタッフによれば、このマザーボードのチップセットはSiS 761GX+966で、ローコストの製品だという。OEM向けだけでなく、リテールでも販売すると聞いているそうで、今後はサーバーの自作も一般的になっていくのかもしれない。

AMDのブースではWindows Home Serverのデモも行われていた。クライアントのノートPCからサーバー側にアクセスしている

そしてPCケースの方はというと、AMDブースにて、Cooler MasterやThermaltakeの製品が展示されていた。

Cooler Master製のケース

Thermaltakeの「DH 201」

そのほかECSは、マザーボードの展示は見当たらなかったが、Mini-DTX用の小型ケースを展示していた。こちらは完全にOEM向けということで、量産については顧客次第とのこと。大きさは30(D)×9(W)×27(H)cm、5インチベイ×1、3.5インチシャドウベイ×1、250W電源というスペックになっている。

ECSのMini-DTX用ケース。左が「131A」、右が「131B」