PCメーカーのLenovoがデザインした「Cloud of Promise」が、2008年北京オリンピックの聖火トーチに選ばれた。

北京オリンピックの聖火トーチは、2005年に北京オリンピック組織委員会 (BOCOG)がデザインの公募を発表。「栄光と夢、伝統と現代、文化と調和」など、北京オリンピックの理念とスローガン、シンボルマークなどを踏まえたデザインが条件とされた。応募されたデザイン数は388点。その中から選ばれたLenovoのCloud of Promiseは巻物をモチーフにしており、中国の文化・伝統を伝える渦巻き雲と、現代的な形状や素材の組み合わせがオリンピック精神を想起させる。

巻物をモチーフにした北京オリンピックの聖火トーチ

Lenovoでは30人以上のデザイン専門家が聖火トーチプロジェクトに参加。中国と米国のほか、ドイツ、シンガポール、日本、ニュージーランド、イタリアなどからも集まった国際的なチームだった。ブレインストーミングを繰り返しながら聖火トーチのデザインを様々な角度から検討し、完成までに10カ月以上の時間を要したという。

Lenovoのイノベーションデザイン・センターのエグゼクティブディレクターであるYao Yingjia氏は「トーチ・デザインのアプローチは、パーソナルコンピュータをデザインするプロセスと同じだった。まずユーザーの要望とわれわれが提供できるソリューションを結びつけ、サイズや重量、機能などの要素を検討した。そしてLenovoのデザインチームに、カスタマーにとってユニークでフレンドリーな製品になるように斬新なアプローチを促した」とコメントしている。

聖火トーチのサイズは720×50×40ミリ。素材はアルミニウム - マグネシウムで、重量は985グラム。燃料は環境への影響や価格を考慮してプロパンガスを採用した。燃焼システムの設計はChina Aerospace Science & Industry Corporationが担当。無風状態では炎の高さが25~30センチになり、およそ15分間燃え続ける。また最大65キロ/時の風、50ミリ/時の雨まで炎を維持できるという。

聖火リレーは2008年3月にギリシアで点火式が行われ、英国、フランス、米国、オーストラリア、インド、日本など20カ国を回り、さらに台湾、香港、マカオなどを経て中国に入る。その後、最終目的地の北京に至るまで中国の113都市を訪れる。