LINEニュースの変化は戦略転換のあらわれ

だが、そもそもLINE側が、LINEの上でニュースを提供することに積極的になったのには、もう1つ大きな要因がある。それを示しているのが、LINE自体のプラットフォーム戦略の転換だ。

LINEは以前よりプラットフォーム戦略に力を入れているが、かつては多くの利用者を抱えたLINEから、ゲームなど他のアプリへと誘導することで、それぞれのアプリの利用を高める戦略をとっていた。だが、スマートフォンの利用が成熟し、アプリに対する関心がかつてほど高いわけではない現在、ユーザーがわざわざアプリをダウンロードして利用すること自体、サービスを利用する上でのハードルとなってきている。

そこでLINEはここ最近、公式アカウントを活用してLINE上でコンテンツを提供することに力を入れている。実際、LINE NEWS DIGESTや「LINEバイト」など新しいサービスのいくつかは、アプリとしてではなくLINE上で動作する仕組みとなっている。プッシュ通知が利用でき、ダウンロードの手間がかからないことから、ゲームのようにアプリでないと実現できないコンテンツでなければ、普段利用しているLINE上ですべてサービスが完結したほうが、ユーザーにとっても利便性が高いのは確かであろう。

LINEはアプリへの誘導を主体とした戦略から、公式アカウントを活用し、LINE上でサービスを提供する戦略へと、プラットフォーム戦略を大きく変えてきている

そして、外部アプリからLINEの中へというプラットフォーム戦略の転換は、LINE自体の位置付けを大きく変えることも意味している。従来、LINEのアプリで利用できるのはあくまでコミュニケーションに限定されており、プラットフォーム展開もLINEの利用者の多さを生かした、外部アプリへの集客にすぎなかった。

だが、LINE上ですべてのサービスが提供されるようになれば、ユーザーの行動もすべてLINEの中で完結することとなり、LINEの位置付けもコミュニケーションを起点としたポータルへと、大きく変わることとなる。