「Digital Twin」という言葉をご存知だろうか?直訳すると「デジタルの双子」という意味になるこの言葉は、「IoTはものづくりの現場にどのような変化をもたらすのか?」とう問いに対する答えの1つである。PTCは6月24日~26日までの期間、東京ビッグサイトで行われている「第26回設計・製造ソリューション展」で、この「Digital Twin」のデモンストレーションを展示している。

IoTのベースは、センサー機器によるデータの取得だ。しかし、単純にデータを収集すれば良いわけではなく、それを解析し、得られた知見を通じて製品やサービスの改善につなげていく開発サイクルを構築する必要がある。

IoTを活用した開発サイクル

「Digital Twin」はこの開発サイクルを構築する上で、キーとなるテクノロジーだ。具体的には、実製品にさまざまなセンサーをつけて、各部品がどのように動いているのかをリアルタイムにフィードバック・解析することを可能とする。つまり、実製品に限りなく近い「デジタルの双子」を作り出すことができるシステムだ。

PTCは「Digital Twin」の説明に自転車を用いている。同社が用意した自転車には計6つのセンサーが搭載されていて、ハンドルの角度、タイヤの回転速度、フロントフォークにかかる衝撃などを計測している。計測したデータはネットワークに接続されたPCへと送信され、クラウド上で解析されてCADのモデルに反映され、ビジュアル化される。これにより、実際の数値(この場合タイヤの回転数など)を利用して、リアルタイムに検証することが可能となる。つまり、実機テストを含めた開発サイクルをより効率的に回すことができるようになるわけだ。

例えば、実際の自転車のタイヤを回転させると、その解析結果が画面に表示される。

ハンドルの角度を計測するセンサー

AR技術と組み合わせる事で、実機に計測データを重ねて表示することも可能となる。

現在のところ「Digital Twin」はコンセプト段階で、製品化の予定はないが、同社は「間違いなくこちらの方向に進んでいく」と明言。また、ニーズについても「開発に対してIoTが広がっていく中で、より精度の高い、確実な3Dデータが必要となる」と語り、同システムを活用した開発が今後2~3年で主流になるだろうとの見解を示した。