PTCジャパンは4月15日、事業戦略についての記者説明会を開催した。同説明会には同社の代表取締役社長である桑原宏昭氏、PLM/ALM事業部 執行役員の成田裕次氏に加えて、米PTCのワールドワイドセールス&ディストリビューション部門上級副社長 Robert Ranaldi氏が参加した。

米PTC ワールドワイドセールス&ディストリビューション部門上級副社長 Robert Ranaldi氏

米PTCが今後の事業の中心に位置づけているのはIoTだ。2013年12月にはIoTプラットフォームを提供する米ThingWorx、2014年8月に機械やセンサを安全にクラウド接続するソリューションの開発を手掛ける米Axedaをそれぞれ1億ドル以上で買収した。2020年には500億個のモノがインターネットにつながるとの予測もある中、製造業向けにCADやPLMソリューションを提供してきたPTCがIoTに重点を置くのはある意味当然と言える。

IoTは製品のライフサイクルに変化をもたらしている。センサーを通じて製品の状況を絶えず把握できるようになったことで、そこから得た情報を開発だけでなく生産・販売、アフターサービスに活かすことができるようになった。しかし、そのためには多種多様かつ膨大な量の情報を有効に活用するためのプラットフォームが必要となる。PTCはそうしたニーズに着目したわけだ。

日本でのIoTはこれから

PTCジャパン 代表取締役社長 桑原宏昭氏

PTCジャパンも当然、IoTビジネスの拡大を狙っていくこととなる。業績自体は好調で、2015年のライセンス・サブスクリプション売上は2桁成長を見込んでいる。しかし、IoTをフックとしたビジネスはまだ数例に留まっており、その打開のためにIoTを中心にアプローチをする営業部隊を設立するなど、日本においてはこれからが勝負といった模様である。

営業戦略の観点では、上位200社の戦略アカウントに対しては、CADから取引を開始して他のソリューションに拡大していく従来の方針を継続する。一方、新規アカウントに対してはIoTから取引を開始する新たなモデルでアプローチしていくとした。

CADを中心とした従来のアプローチ方法と、IoTを中心とした新アプローチ方法

さらに、スマートコネクティッド製品のトータルプラットフォームを提案するために、デバイス、センサー、ネットワーク、データセンターなど幅広い分野のパートナーとの協業を強化していくとのことで、桑原社長は「すでに多くのパートナーから問い合わせがある」と明かした。

PTCジャパンが提案するスマートコネクティッド製品のトータルプラットフォーム

なお、PTCは来月米ボストンでThingWorxをメインとしたイベントを開催する。弊誌でも取材記事を掲載する予定なのでぜひ楽しみにしていただきたい。