エレクトロニクス領域全般を扱うエレクトロニクス商社であるRYODENは、FAシステム・冷熱ビルシステム・半導体といった分野を基幹事業とする一方で、従来の商社という枠を超えた事業創出会社となることを目指した事業展開に向けて、コア技術や新技術の開発・応用実証などを行う「RYODEN-Lab.」の開設ならびに新たな事業ブランド「RYODEN Tii!」を2024年2月に策定。この新たな事業ブランドの策定と、その推進を支える中心地となるラボの役割について同社 執行役員 戦略技術センター長の反田哲史氏にお話を伺うとともにラボを見せてもらったので、その様子をお届けする。

新事業創出へ、RYODENの成長戦略

RYODENは1947年4月にミシン、ラジオ、電気冷蔵庫を扱う三菱電機の販売代理店「利興商会」として創業した後、大興商会との合併を経て1958年に菱電商事となり、2023年に「商社の枠を超えた事業創出会社」への転換を目指して菱電商事から現在のRYODENへと社名を変更するとともに、戦略技術センターを設立した。

同社は現在、売り上げの約70%を半導体などのエレクトロニクスが占めており、続いてFAシステム、冷熱ビルシステム、そして新規事業を主体としたX-Tech(クロステック)の4領域で事業を展開しており、このX-Tech事業の売上高について同社では2023年度の57億円から2024年度には100億円に引き上げたいとしている。

そうした新事業創出の一環として今回、RYODEN-Lab.を開設。オフィスが併設されており、戦略技術センターと新事業開発を担当している新規事業推進室のメンバーを中心に40人ほどが同ラボに勤務し、イノベーションへとつながる発想の創出に挑んでいるという。

また、新たに策定されたオリジナル製品群の事業ブランドであるRYODEN Tii!(リョーデン ティー)の、“tii”部分は「this is it」の略で、日本語で言う「その手があったか」を意味し、同社による顧客の潜在課題を解決する力を表現。「!」は同社パーパスの「人とテクノロジーをつなぐ力で"ワクワク"をカタチにする」のなかにある、「ワクワク」するようなアイデアや発想を示しているとのことで、これらを組み合わせることで今後、ブランドから事業を変革させていくBX(ブランド・バリューイノベーション)を推進していきたいとしている。

  • 「RYODEN Tii!」のロゴ

    「RYODEN Tii!」のロゴ (出所:RYODEN)

イノベーションを推進するRYODEN-Lab.の内部に潜入

RYODEN-Lab.内には、以下の7つのデモンストレーションエリアが完備されており、「自動化・省人化・可視化」「AI・DX・セキュリティ・通信」、「環境・脱炭素・省エネ」の3つのカテゴリで技術開発が進められている。すでに製品化して販売しているものや開発中のものもあり、商社ならではの強みを活かして幅広いラインナップが揃えられている。

  1. 協働ロボット活用複合型ロボット
  2. 振動データ分析技術予兆保全
  3. 入出庫管理ソリューション「ATLAS-Things」
  4. 害獣・害虫遠隔監視ソリューション「Pescle」
  5. ディープラーニング 画像処理「FlaRevo」
  6. 製造業向けサイバーセキュリティ
  7. 次世代無線通信

中でも、協働ロボット活用複合型ロボットでは、協働ロボットと自動搬送ロボット(AMR)を顧客の現場に合わせ連携制御し、センサーとも協調させ安全かつ安価な複合型ロボットを開発、提案している。デモでは、AMRにForwardX(フォワードエックス)、協働ロボットにELITE ROBOTS(エリートロボット)を組み合わせた複合型ロボットが動いている様子を見ることができた。いずれも中国メーカーのロボットであり、「安全であることはもちろん低コストに仕上げ、導入のしやすさに重きを置いて開発した」と開発担当者は語っていた。

  • 協働ロボット活用複合型ロボット

    協働ロボット活用複合型ロボット

また、3Dビジョンとロボットを使ったバラ積みピッキングのデモでは、英Cambrian Vision SystemのAIロボットビジョンシステムをピッキングロボットと組み合わせた独自技術で、従来は難しい透明体や黒色、筐体などの特殊な形状もカメラで認識できるとしているほか、外乱光や照明条件に左右されない強みをもっており、さまざまな条件の工場にも導入できるだろうとしている。

  • 透明でところどころ穴も開いているワーク

    デモで用いられたワーク。透明でところどころ穴も開いている

  • 透明でところどころ穴も開いているワークを認識しピッキングするロボットの様子

    透明でところどころ穴も開いているワークを高精度に認識しピッキングするロボットデモの様子

このほか、ディープラーニング 画像処理「FlaRevo」のデモでは、製造現場などで各種カメラ画像をAI分析するプラットフォームを新たに開発。これにより、例えば作業者の不安全行動の検知や製造工程異常の検知・警告などさまざまなソリューションを短期間で提供できるとしている。

実際にラボ内ではさまざまな企業の技術が組み合わされてる形で1つのソリューションが実現されていたが、連携の際に必要な技術があれば独自に自社で開発しているとのこと。このようにそれぞれの分野の機器を幅広く知っている商社の強みと、機器同士を連携させるための独自の開発技術力で、新たな事業創出を目指す同社。ほかにも、商社であるからこそ、顧客から直接ニーズや課題をヒアリングでき、現場の声を吸い上げやすく、それに応じた技術や部材を取り揃え製品化につなげることができることも強みだとしている。

他社との差別化という言葉をよく聞くが、RYODENでは“異質化”を目標とした現場と商社の融合によって新たなソリューション、新たな価値を顧客に提案していきたいと反田氏は語る。他社にはない「その手があったか」というようなソリューションの開発に今後も期待したい。