Windows 8.1 Update登場

2014年4月9日、Windows 8.1 Updateが公開された。Windows Update経由で適用する本アップデートは、Windows 8.1のUI(ユーザーインタフェース)を再構築するものである。改めて述べるまでもなく、Windows 8から加わったモダンUIは、過去のWindows OS(オペレーティングシステム)において大規模かつ大胆な変更だった。

MicrosoftのWindows Phone Program Management担当VP(バイスプレジデント)であるJoe Belfiore(ジョー・ベルフィオーレ)氏は、MWC(Mobile World Congress) 2014の事前記者説明会で「(モダンUIは)タッチ対応製品の増加に一役買ったが、同機能を利用しないユーザーに対応するため、キーボードやマウスを中心とした操作性を高める」といった主旨の内容を発言している。

Windows 8.1 Updateのリリースは、多様な見方ができるものの、OSではWindows Vista、同社製品ならDynamics CRMなどが提供してきた「Update Roll-up(バグフィックスに加えて新機能が追加される場合に用いられるアップデート形態の一種)」として受け取るのであれば、現在Windows 8.1を利用しているユーザーにとってメリットは大きい。

他方でWindows 8.1を取り巻く状況は、これまでと異なっている。Windows 8.1のシェア(市場占有率)は日々高まりつつあるものの、Windows XPやWindows 7のシェアを抜くほどではない。また、コンピューターのトレンドがデスクトップ/ノート型からタブレット/スマートフォンに移行しつつある現状を踏まえると、ユーザーはモダンUIで強引にタブレットに対応したWindows 8.1を選択する理由は多くない。

Microsoftは2013年に自社の方向性として、従来のソフトウェアを主軸におくスタイルから、"デバイス&サービス"に舵を切っている。そのため、Windows OSの販売で収益を上げるのではなく、同OSと自社製デバイスをセットにしたビジネスモデルを選択し、同OSを中心としたプラットフォーム上のサービス提供を行い始めた。

つまり、MicrosoftにとってOSは主軸製品であることに変わりないが、Officeスイートやサーバー製品と同じソフトウェアの一種なのである。その結果、本稿執筆時点で詳細は不明ながらも、無料版もしくは極めて安価に提供する「Windows 8.1 with Bing」や、SA(Software Assurance)ライセンスユーザー以外にも提供する「Windows 8.1 Stand-alone Enterprise」のリリースを計画しているのだろう(いずれも仮称)。

さて、話をWindows 8.1 Updateに戻そう。前述のとおり同アップデートは、キーボード&マウスでWindows 8.1を操作する従来のユーザーが、デスクトップ/ノート型PC上のUX(ユーザーエクスペリエンス)を向上させるための存在である。筆者が確認した変更箇所は約30箇所に迫り、軽微な変更ながらも日々非タッチ環境でWindows 8.1を使っている筆者にとっては好ましい改善ばかりだ。

さて、Windows 8.1 Updateをインストールして最初に気付くのは、バージョン番号などが変化しない点である。バージョン情報ダイアログを起動すると「バージョン6.3(ビルド9600)」と、これまでのWindows 8.1と変化していない(図01)。

図01: Windows 8.1 Updateインストール後のバージョン情報ダイアログ。Windows 8.1と同じだ

そこで内部ビルド情報を示す、HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersionキーの文字列値「BuildLab」および「BuildLabEx」を確認すると、適用前は「9600.winblue_gdr.131030-1505」「9600.16452.amd64fre.winblue_gdr.131030-1505」。適用後は「9600.winblue_gdr.140221-1952」「9600.17031.x86fre.winblue_gdr.140221-1952」と変化が生じていた(図02~03)。

図02: こちらはWindows 8.1のCurrentVersionキー。ビルド番号は「9600.16452~」であることを確認できる

図03: Windows 8.1 Updateの同キーを確認すると、ビルド番号が「9600.17031~」に更新されていることを確認できた

つまり、2014年3月時点で公開されている更新プログラムを適用したWindows 8.1のビルド番号「9600.16452」となるが、Windows 8.1 Update適用後は「9600.17031」に更新される。ちなみにこの数値は「システム情報」の「HAL(Hardware Abstract Layer)」でも確認できるので、お好みの方法で確認して欲しい。

この特集記事は、Windows 8.1リリース時に掲載した、以下の特集記事「~インストールから設定・活用まで~ すべてが分かるWindows 8.1大百科」の続編として、Windows 8.1 Updateでの変更点を解説しています。
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【特集】~インストールから設定・活用まで~ すべてが分かるWindows 8.1大百科
http://news.mynavi.jp/special/2013/windows81/
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「Windows 8.1」から「Windows 8.1 Update」に更新した際の差分を紹介していますので、OSそのもののより詳しい情報が必要な場合は、上記リンク先の特集記事もあわせてご覧いただくことをおすすめします。

それではインストール手順を後回しにし、次ページからはWindows 8.1 Updateの変更点を1つずつ確認していこう。なお、本稿では従来のWindows 8.1はそのまま"Windows 8.1"と呼び、アップデートを適用したWindows 8.1を"Windows 8.1 Update"と呼ぶことにした。あらかじめご了承頂きたい。