異国エジプトで働いていた「おろぐちともこ」が、仕事を含む現地生活をマンガとコラムでご紹介。ピラミッドだけじゃない「エジプト」をお楽しみください。(毎週火曜更新予定)

【実現可能性は……?】
家庭教師で日本語を教えていた生徒のお兄さん。私が教えるだけでなく、たまに一緒にお茶をして、アラビア語を教えてもらったりしていました。

そんなある日、「大事な話がある」というので、足を運んだところ、彼は自信満々に「日本人相手にこんなビジネスが受けるんじゃないかな!?」と相談してきました。ふんふん、と聞いていたところまでは良かったのですが、なんとそのビジネスのメンバーに私が勝手に入れられている……! 私の意思とか確認されてなし、ほかの仕事もあるんだけど……。

「日本でこんなビジネスをしたい」と語るエジプト人は多いので、笑って終わらせることもできるのですが、彼は結構本気のようで、「絶対成功するよ!」と自信満々です。

ですが、(勝手に入れられたとは言え)メンバーである以上、しっかりした企画がないと話には乗れません。きちんとしたビジネスにしてお金を儲けたいのならば、まずは企画書を作ってそれを見せてもらわないと。

とりあえず、「ターゲットは? 販売戦略とかアプローチはどうするの? ビジネスを手伝ってもいいけど、お給料払えるの? 保証はある?」と聞きたいことをマシンガントークで聞いてみました。就職するとなったら、大事なところです。彼はうーんと考えて「もう一度考えてみる」と一言。「まずは企画書待ってるね!! 詳しい話はそれからかな!」と声をかけて置きました。

「考えてみる」というコメントをもらったものの、その後彼にあってもその話は出なくなり、残念ながら企画倒れになりました(そんな気がしていた)。人を動かすには、しっかりとした企画を作ってから。仕事の基本かもしれませんね。

アブシンベル神殿。壮大な企画力が感じられます(……無理やり)


おろぐちともこ
大学時代古代エジプトを勉強していたためエジプトの地を踏むこと6回。7回目に踏み入れた2011年より数年間エジプトで働く。
現在はエジプト人による日本語雑誌を中心に、漫画を描いたりアシスタントをしたりと、国境を越えて活動中。至上の喜びは、素敵なカフェで水タバコの煙をゆらしながら、ぼけっとお茶をすること。生活記Blogつぶえじでは、現地の生活の様子を不定期に発信している。