異国エジプトで、ダブルワークならぬトリプルワークをこなす「おろぐちともこ」が、仕事を含む現地生活をマンガとコラムでご紹介。ピラミッドだけじゃない「エジプト」をご堪能ください。(毎週火曜更新予定)

【気まぐれ・ミクロバス】
通勤の足としてよく使う乗り物、ミクロバス(マイクロバス)。

運賃も安く、地下鉄が通っていない道も走るため、カイロっ子の重要な交通手段となっています。

大きさは通常のバスよりも小型で、定員10人前後の乗り合い形式。決まった路線を走り、特定の停車地点があるのですが、それ以外の場所でも運転手に「降りたい」「乗りたい」と意思表示をすれば、好きなところで乗り降りできます。時刻表も特にないので、乗客が集まれば出発するという、路線バスとタクシーの中間のような乗り物なのです。

そんな緩くて便利なミクロバスですが、たまに予想外のトラブルに見舞われることも。

ある場所へ行くために、路線と行き先を確認して乗ったミクロバス。乗車時は満員だったのですが、いつの間にか皆下車して、気づけば乗客は私一人。途中の停車地点で乗ってくる人は皆無。自分が降りる場所まで貸し切り状態なので、「ラッキー」と思っていたら突然、ミクロバスがUターン! 反対車線に入ろうとしているではありませんか。

慌てて、「どこに行くの!? まだ私の降りたい場所に着いていないけど!?」と声をかけたところ、「客がいないからさ。差額を返金するからここで降りてね。ごめん」と言われました。選択肢は「降りる」しかありません。どうしようもないので、差額をもらって別のミクロバスに乗り換えました。

後日、友人にこんなことがあったと話したら、「ああ、よくあるね!」と一言。「エジプトあるあるなの!?」と衝撃を受けました。「シェフの気まぐれ」ならぬ「運転手の気まぐれ」か……。

その日の運次第で強制下車もありえるミクロバス。今日もちょっとドキドキしながら乗車するのでした。

ミクロバスの出発地点。乗客が集まれば出発します


おろぐちともこ
大学で古代エジプト史を専攻し、2011年よりカイロ在住。日々、エジプト人観察に励む。
現在はWebやエジプト人による日本語雑誌の漫画を執筆したり、デジタルアシスタントをしたりと、国境を越えて活動中。至上の喜びは、素敵なカフェで水タバコの煙をゆらしながらぼけっとお茶をすること。生活記Blogつぶえじでは、現地の生活の様子を不定期に発信している。