空港から一歩外に出れば、いよいよ本格的な"旅"のはじまりです。空港は郊外にあることが普通ですから、都市の中心地までは、バスやタクシー、鉄道などの交通機関を使って移動することになるでしょう。今回はその"移動手段"そのものを考えてみます。移動手段は、大まかに分けて都市間や国家間を移動する長距離と、都市内を移動するローカルの2種類になります。ローカルな移動手段は国によって変わるため後の旅行記で詳しく説明するとして、ここではどの国でも共通となる長距離の移動手段を紹介します。

タダで航空券をゲット?! LCCでお金と時間を稼ぐ

長距離の移動手段といえば、まず思いつくのは飛行機です。この連載で多く取り上げる東南アジアの各国には、「LCC(Low-Cost Carrier)」と呼ばれる航空会社が多数存在しています。あまり聞きなれない単語かもしれませんが、LCCは別名・低コスト航空会社ともいい、これらLCC最大の特徴は、なんといっても航空券の安さ。その価格はナショナルフラッグの航空会社の半額~1/3程度と破格! 例えば、マレーシアを本拠地にしているエア・アジア(Air Asia)は、片道30~1,000円前後(実際は運賃に空港使用料や燃油サーチャージが課せられるので、最終的には3,000~1万円前後)という超安価な価格を設定しています。それに加えて、期間限定の無料航空券も頻繁に売り出しているので、タイミングさえ合えば非常にお得な移動手段になりえます。

これらLCCを使いこなせば、国内はもちろん、近隣諸国への移動が短時間で可能です。LCCは、Webサイトからの航空券販売による人件費の削減、早い者勝ちの自由席の採用、機内食の有料提供など、いわば合理的な「空の格安バス」です。しかも、LCCの使い方によっては、お金はもちろん時間も節約できるので、サラリーマンの週末海外旅行では重宝する場面もあります。価格は基本的に、購入が早ければ早いほど安くなります。ただし、一度予約した航空券のキャンセルはできず、フライトスケジュール変更は可能な範囲(有料です)と、安いからには落とし穴もあります。LCCを旅に組み込む際は注意してください。

意外と快適な長距離バス

東南アジアでもっとも安く、利便性の高い長距離移動手段といえば長距離バスです。大抵どの国でも、国内の主要都市はバスの路線で結ばれています。空路よりも時間がかかりますが、空路は空港と中心地間の移動時間やチェックインまでの時間などを考慮すると意外と時間がかかるので、移動距離によってはバスが一番早くて安い手段だったり、空路がない場合はバスが唯一の交通手段というケースもあります。これまで、東南アジアにおける長距離バスは、言ってしまえば"安かろう、悪かろう"というイメージだったのですが、最近は豪華な車体も登場しつつあり、かなり快適な旅が送れるようになっています。長距離バスで注意したいのは、体調の管理と身の回りの安全です。車内冷房の効きすぎから体調を崩してしまったり、席で爆睡していると、スリなどの被害に遭ったりすることがあります。特に女性の一人旅は、運転席の後ろなどに席をとって運転手と頻繁にコンタクトを取る、窓際ではなく通路側に座って隣に人をなるべく座らせない (混んでいるなら話は別ですが) などの防御策を講じると安心です。

"世界の車窓から"も夢じゃない! 国境も越えられる列車の旅

長距離バスに乗る人々は旅行者だけでなく現地の人も多いので、ローカルな雰囲気が楽しめます。そしてもっとローカルな気分を味わいたいというのなら、断然列車がおススメです。特に、島国の日本では味わえない醍醐味の1つに、列車での"国境越え"があります。例えば東南アジアでは、シンガポール⇔マレーシア⇔タイを1本の線路で結ぶ、通称"マレー鉄道"があります(実際には途中で乗り換えが必要)。また、中国、韓国、台湾では、都市と都市が高速列車で結ばれており、日帰りで他の都市へと足を伸ばすことも可能です。

列車の座席は、大抵いくつかのクラス(等級)に分かれていますが、もっともローカルな雰囲気が味わえるのは、価格が一番安いクラスです。席の座り心地などはあまりよくありませんが、現地の家族と向かい合わせにひざを突き合わせて座り、世間話をしながら窓の外を見ると、流れる風景はまるでテレビ番組の"世界の車窓から"のよう(殺風景なこともありますが……)!

列車での旅は、このように風情がありますが、マレー鉄道のような列車は、1日の運行本数が限られている上に、飛行機や長距離バスよりも時間がかかり、加えて遅れることが多いのが玉にキズ。列車で旅する場合は、移動そのものを目的として、終着駅への到着が遅れても問題ないようなスケジュールを立てるように心がけましょう。

さて、これで航空券も買え、滞在先のホテルを予約でき、空港での過ごし方や長距離の移動手段もわかりましたね。次回からはお待ちかねの旅に出発です! 次回からは、私が実際に出かけた週末海外旅行記を通して、より具体的な海外週末旅行のノウハウやコツを伝授します。まずは、シンガポールとマレーシア。列車による国境越えやLCCを利用した国の移動など、週末海外旅行の"ゴールデンルート"ともいえる旅程です。それではみなさん、よい旅を!

コノミ流旅の掟
「長距離の移動は、お金も時間も節約できるLCCを選択肢に入れること」