埼玉県民は効率性を重視する!?

東京都のベッドタウンとして、とかく「地味」「個性がない」などと言われる埼玉県。データをひもといて埼玉県らしさを探してみました。

実は自転車保有率No1!

ベッドタウンとしての特徴が表れているのが鉄道輸送。鉄道利用回数は人口ひとりあたり年間241.23人回で6位(2007年 全国平均177.34回)なのに対し、鉄道旅客域内移動率が36.95%で45位(2007年 全国平均78.88%)。鉄道を利用する人のうち、埼玉県内から乗って埼玉県内で下りる人は36.95%にすぎないことを意味しており、東京都のベッドタウンとなっていることが分かります。

越境しているのは労働者だけではなく、高校県外進学率は9.56%で2位(2010年 全国平均3.84%)で、子供たちも東京都の学校に通学しているようです。

また、自転車保有台数は人口100人あたり76.92台で1位(2008年 全国平均54.38台)と高い一方、自動車普及率は世帯あたり85.1%で41位(2009年 全国平均85.5%)と低く、自転車や公共交通機関を多用する埼玉県人の生活がデータから見えてきます。

広い平野ゆえに施設数は少なくて済む

その埼玉県の環境を見ると可住地面積率が67.6%で2位(2001年 全国平均32.1%)、森林率が32.2%で44位(2007年 全国平均67.30%)と、森が少なく人が住める面積が広いことが分かります。一方、人口は713万人で5位(2009年)、人口集中度は78.9%で5位(全国平均66.0%)となっていて、広い平野に人々が集中して住んでいることが分かります。

広い平野に集中して人が住むことで、埼玉県は様々な点で効率化が進んでいます。単位人口あたり施設数を並べてみるとスーパーマーケット店舗数が45位、銀行店舗数が47位、鉄道駅数が46位、小学校数が45位、中学校数が43位とどれも少なく、逆に言えば、ひとつひとつの施設を利用する人が多く効率的と言えます。これは行政面にも表れていて、人口100人あたり地方公務員数は1.63人(2009年 全国平均2.16人)と全国で最も少なく、行政運営も効率的に行われているようです。

効率的な運営をされているせいか、小学校減少率が0.96%で46位(2003年→2010年 全国平均6.91%)、空き屋率は11.65%で46位(2008年 全国平均14.43%)と無駄がありません。

埼玉県民は効率的な生活を好む!?

埼玉県の効率性は県民性にも影響しているようで、ガソリンスタンドに占めるセルフ式ガソリンスタンドの比率が32.52%で2位(2010年 全国平均21.79%)、ビール消費量に占める発泡酒・第3のビールの比率が56.12%で7位(2009年 全国平均49.94%)と価格に対してシビアです。電気使用量も1人あたり2,067.68キロワット/時で43位と少なく、埼玉県人は効率的な生活を心がけていると言えそうです。

700以上のランキングから、埼玉県の相関関係を筆者が割り出したのが上の地図です。赤は似ている県、青は正反対の県、黄色はどちらでもない県。埼玉県、神奈川県、千葉県の東京を取り囲む3県の相関が高いのが目立っています。

埼玉県と他都道府県の相関図。東京都を取り囲む県と似ている

700以上のランキングから、埼玉県の相関関係を筆者が割り出したのが上の地図です。赤は似ている県、青は正反対の県、黄色はどちらでもない県。埼玉県、神奈川県、千葉県の東京を取り囲む3県の相関が高いのが目立っています。

筆者プロフィール : 横道 文也(よこみち ふみや)

統計サイト「都道府県別統計とランキングで見る県民性」主宰。様々なデータを都道府県という切り口から分析し、新たな「おむつとビール」を探すデータマイナー。時系列でデータを分析する「年次統計」や歴史年表を分析する「年表マニア」などのデータサイトも運営。