連載「副業でやらかしまして。」では、大金持ちになるという野望を持ったフリーター「しんま」氏が、株や投資、せどりなどの副業でやらかした経験を語ります。「年収の半分は副業に費やしている」と豪語する同氏が大金持ちになる日は来るのでしょうか!?(毎週水曜更新)


今回の副業やらかし談は、副業の王道と言っても過言ではない「せどり」のお話です。

「せどり」とは?

「せどり」とは、古本屋などで本を安く仕入れ、Amazonやヤフオクなどで仕入れた値段より高く販売し、その差額が利益になるという差益を狙う商売です。そんなせどりですが、なぜ自分がこの副業を始めたのかというと、それはせどりで稼いでいるある方の魅力的な言葉にひかれたからです。

「せどりで年商8,000万円」
「あなたもせどりを始めれば、あっという間に悠々自適なセミリタイア生活を送れます」

いかにもって感じですが、ネットリテラシーのなかった自分はこの言葉をそのまま受け取り、「そうか! せどりを始めればお金持ちになれるんだ! バイトだってすぐに辞められるんだ!」と、世の中の真理を見つけたかのごとく完全に舞い上がっていました。

「せどり」に挑戦することにしたしんま氏(画像はイメージ)

ライバルのいない「CD」のせどりに挑戦

早速せどりを始めるためにAmazonで自分のショップを開店。当初はせどりで最もスタンダードな「本」を売ろうかと思いましたが、本はスタンダードであるが故にライバルも多く価格競争が激しい世界でした。なので、まだそこまでライバルがいなかった「CD」を売ろうと決意しました。

早速CDを仕入れるために近場のBOOKOFFに足を運び、仕入れ作業を開始。棚から棚へ、ジャンル問わず、かたっぱしから調べていきました。滞在時間は4時間くらいだったでしょうか。売れそうな商品を100点ほど仕入れられました。

本当は250点ほど仕入れられる商品はあったのですが、何せ当時はめちゃくちゃ貧乏でしたから予算的に100点が限界でした。

初めての仕入れで、売れそうなCDが100枚も見つかったことにより、「うおー! BOOKOFFにはこんな売れるお宝がザクザク見つかるのか~! せどりすげー」と達成感に包まれていたのをよく覚えています。

失敗を犯すも、CDせどりは軌道に

しかしここで自分は最初の失敗を犯します。当時の自分は、Amazonで販売されている価格より低い金額で仕入れればその差額が利益になると信じていたのですが、1つ誤算がありました。それは「売れ筋ランキングを完全に無視していた」ということです。

いくら安く仕入れらたからといって、そもそもそのCDが不人気な商品だったらいくら安くても買い手は少数です。なのでなかなか売れません。無名アーティストのCDと嵐のCDだったら、値段に関係なく嵐のCDが売れていくに決まっています。

つまり自分はほぼ無名なアーティストのCDを仕入れまくってしまったために、仕入れたCDがほとんど売れなかったのです。年商8,000万円稼いで悠々自適なセミリタイア生活を送るはずが、いきなり暗礁に乗り上げてしまいました。

「何でいつも俺はこうなのか……。そんぐらい最初の段階できちんと調べておけよ」と、まるでお約束かのように失敗してしまう自分に嫌気がさしつつも、この失敗を生かし、2度目からはきちんと売れ筋ランキングを意識して仕入れるようになりました。

開始4カ月で利益は3万円に

こうして、何だかんだありながらもCDせどりは軌道に乗り、ある程度売り上げも安定してきました。

具体的に言うと、せどりを始めて4か月後ほどで、月商10万円で利益が3万円くらいの規模にまで成長。わずか3万円とはいえ、貧乏な自分にはこの3万円は非常に有り難いものでした。同時に、「せどりを続けていけば、本当にセミリタイア生活を送れるかもしれない」と強く再確認できました。

「もっともっとせどりの売り上げを伸ばしていこう!」

モチベーションを高め、更に仕入れのペースを加速させていきました。最盛期は、CDの在庫が500点にまでなっていましたね。そのころには、CDだけではなく、DVDや高額な専門書も仕入れており、さらなる売り上げ拡大にまい進していたのです。

特にDVDは高利益商品が多く、1番すごかったのは、1万4,000円で仕入れた『宇宙海賊キャプテンハーロック』(松本零士原作)のDVDが何とAmazonでは3万5,000円で売れたのです。一発で2万1,000円の利益です。

とまあ、いかにも順調のように見えますが、ここで僕は次の問題に直面するのです。そう、CDせどりは大して儲からない割に死ぬほど忙しかったのです。

忙しいくせに儲からないせどりに情熱を失う

当時CDの在庫が300~500枚ほどあり、毎日コンスタントにCDは売れていきました。月間で200~250枚ほどは販売していたのではないでしょうかね。

しかし月の利益はよくても4万円程度。250枚販売していたということは、CD1枚当たりの利益が160円ぽっちです。『宇宙海賊キャプテンハーロック』のDVDのような”当たり商品”には、そうめったに巡り会えるわけではありません。基本は薄利多売です。当然売れずに不良在庫となるものも存在します。トータルで考えると、決して利益率が良い商売ではありませんでした。

何より仕入れがかなり大変でした。バイトが18時に終わると、その足でそのまま仕入れにBOOKOFFへ行き、帰宅すると仕入れた商品の出品作業と、注文の入った商品の発送作業が待ち受けています。「今日はようやくバイトが休みだ」と思っても、結局休日は全て仕入れに時間を費やすことになるので、休みはつぶれます。特に休日は、ふだんなかなか行くことができない、都内大型店舗のBOOKOFFに行ったり、1日でいくつもの店舗をはしごしたりしていましたので、まさに休む暇はありませんでした。

苦労が多く、利益は少ない。もちろんやり方次第ではいくらでも利益を上げる方法はあったのかもしれませんが、そもそもせどりを始めた理由が、「年商8,000万円、悠々自適なセミリタイア生活」を夢見てのことだったので、いくら頑張っても月4万円しか稼げない現実に「全然せどりだめやん」と思ってしまったわけです。

CDせどりで学んだこと

その後も、何とか利益を増やそうとあれこれ手を打ちましたが、報われることなく薄利多売の現状は変わらずでした。そんな感じだったので、すっかりせどりに情熱を失ってしまい徐々にフェードアウトしていきました。気づけば1年ちょっとで廃業です。

結局せどりで大きく稼ぐことはできませんでした。ちまちま小さな利益を稼いでいくのが自分の性に合わなかったからうまくいかなかったのかもしれません。

時を同じくして、僕の父もせどりを始めました。父の場合はCDではなく家電製品を売っていました。ヨドバシカメラなどの大型家電製品店で、売れ残りセール品を安く仕入れAmazonで売っていたんだそうです。

当時の僕は自分のCDせどりがうまくいっていなかったものですから、父の家電製品せどりが失敗することを全力で願っていました。自分が全く稼げていないのに父が稼げるようになるなんて我慢なりませんからね。我ながらなかなか人格が破綻しているなと思います(笑)。

しかしそんな嫉妬交じりの願いはむなしくもかなわず、父はあっという間に月商250万円稼ぐスーパーなせどらーになってしまいました。その事実を受け止めるのに、1週間くらいかかったことをよく覚えています。なので、いろいろな意味でもうせどりはうんざりです(笑)。

執筆者プロフィール

しんま
3つのバイトを掛け持ちするフリーター。お金持ちになるためにFXやせどりなど様々な副業に手を出すが全て失敗。年収の半分は副業に消えているんだとか。ブログ「しんまは今日も損切りっ」、Twitterはコチラ