【連載】

鉄道で行くドイツ裏街道の旅

6 旅最後は温泉保養地バート・ホンブルクで

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大都市からちょっと離れた穴場的なスポットは……

休暇のはずの旅行なのに、家に帰るとくたくたに疲れてしまうのは海外旅行なら仕方のないことです。しかし、その疲れを少しでも低減させる方法があります。それは「旅行の終盤はゆっくりのんびりと過ごす」ことです。

ドイツに行く場合、大抵はミュンヘンかフランクフルトの空港から帰国します。特にフランクフルトは直行便も多く、大抵の場合、この街から帰国することになります。フランクフルトの街も大都市ながら非常に過ごしやすい所ですが、そこからドイツの国鉄Sバーンで約20分の所に、素晴らしい温泉保養地があることは意外と知られていません。その街の名前は「バート・ホンブルク」。

バート・ホンブルク駅とその周辺。Uバーンも郊外に出れば地下鉄ではなくなる場合がほとんどだ

タウナス山麓にある小さな街で、ヴィルヘルム1世が夏の館として利用していた保養地でもあり、今でもその城跡を見ることができます。この街の魅力は、なんと言っても温泉保養地であることです。大都会からほんの少ししか離れていない場所ですが、雰囲気は全く違います。しかも、フランクフルトの中心地まで電車で20分ほどで出られるので、2つの街を楽しむことができます。

この街の目玉とも言えるカイザー・ヴィルヘルム温泉(ヴィルヘルム皇帝浴場)の入り口と像。マッサージもあるので、旅の疲れを癒すのに最適。街にはこのほか、タウヌス・テルメという温泉がある

非常にのんびりとした温泉保養地

バート・ホンブルクの街は高級住宅街ということもあり、治安も非常によく、とてものんびりしていて過ごしやすい街です。特に温泉があることから、旅の疲れを癒すのに最適で、筆者はドイツ帰国前の2~3日は必ずこの街で滞在します。

街の半分はあるのではないかと錯覚するほど大きな公園には、平日の昼間でも、なぜか昼寝をしている人がちらほらと見かけることができます。街のメインストリートは地元の人間で溢れており、非常に活気があります。

街のメインストリート。わずか1km程度のショッピング街だが、住民達の活気溢れる場所。都市部のように混雑していないのが良い

夜になると、メインストリートは閑散としますが、公園内のある一カ所が活気を帯びてきます。理由はカジノです。そのため、夜になると保養客はもちろん、フランクフルト近郊からも多くの人がここにやってきます。

温泉保養地のカジノというと、掛け金が高いのでは? と思われがちですが、ルーレットでも1ユーロから遊ぶことができ、カジノの雰囲気を味わいたいだけの人でも充分に楽しむことができます。

チップへの換金はユーロやドルだけでなく、日本円でも受け付けてくれます。レートも銀行並みで換金率は悪くありません。ヨーロッパのカジノは紳士の社交場ですから、危ないこともありませんし、充分その雰囲気を楽しむことができますので、是非とも寄ってみてはいかがでしょうか。

カイザーブルグ(皇帝の城)の塔から眺めたバート・ホンブルクの公園の一部。とにかく街のまわりには公園が広がる

公園のいたるところにベンチがあり、のんびり座って緑を眺められる。また、芝生に寝転んで昼寝をしている人も珍しくない

ホテルはなるべく良い所に。回復具合が全然違う

この街を訪れる目的が、疲れを癒すことですから、当然ホテルもちょっと贅沢にしたい所です。幸い、この街に泊まるのは帰国前の数日間ですので、休日が重なることがほとんどです。

ドイツに限らずヨーロッパの場合、ホテルの料金はかなり変動します。例えば、イベント等がある平日の場合は通常の2~4倍にもなりますが、逆に休前日などの場合、平日よりも料金が割安になるのです。

特にホテルが独自に行っているプランを利用すると、通常の半額以下で泊まれるケースも出てきます。筆者もこのプランを利用して、平日なら400ユーロ近い高級な部屋を150ユーロ程度で利用しています。

筆者がバート・ホンブルクでお勧めするホテルは「シュタイゲンベルガーバート・ホンブルク・ホテル」です。公園の向かいにあり、閑静な住宅地に隣接している場所に建っているため、非常に静かです。また、カジノや温泉にも非常に近く、町の中心部にも出やすく、便利なロケーションにあります。

余談ですが、私はここの街にくると必ず立ち寄る美味しい中華料理店があり、そこは何とこのホテルの前に位置しています。イェンさんという方が、家族でやっているお店なのですが、料理の味はもちろんのこと、ここで出される紹興酒は本当に美味しく、何杯でも呑めてしまいます。日本では紹興酒にザラメを入れて呑むと言う不思議な習慣がありますが、本来はお燗をそのまま呑むのが正しく、良い紹興酒になればなるほど、すっきりとした甘みとコクがあります。

シュタイゲンベルガー バート・ホンブルク・ホテル。筆者は丸窓に十字の模様があるスイートに150ユーロで宿泊した

筆者お気に入りの中華料理店。シュタイゲンベルガーホテルの正面にある。顔なじみになっており、行くたびに歓迎される

空港に近いこと、これも選択のポイント

空港宅急便が発達している現在、自分の荷物を運ぶのは帰りのホテルから空港までが最後となる場合も多いでしょう。そのため、荷物を持っての移動が楽なことも最後に泊まる場所の重要な条件になります。

バート・ホンブルクからフランクフルト空港まではタクシーで約20分。金額にして30ユーロ前後と便利なロケーションにあります。

地図でもわかるように、バート・ホンブルクはフランクフルトのすぐそば

フランクフルト市内に泊まっていたら、地下鉄を利用して数駅で空港に着けますが、果たしてバート・ホンブルクほどのゆったりした休養ができるかは疑問です。それを考えるとここでの宿泊はちょっとした贅沢ではありますが、心身ともにリフレッシュして帰国することができます。

さて、この連載も今回が最終回。皆さんにドイツの魅力が伝わったでしょうか? ドイツには、まだまだ、沢山の観光スポットが点在しています。とにかく公共交通網が発達しているため、隅々まで列車を使って旅することができるのも、ドイツの魅力と言えます。ヨーロッパ旅行と言うと、ちょっと遠いというイメージがありますが、直行便なら11~12時間ほどで到着します。

連載で紹介した街はドイツの魅力を語る、ほんの一例でしかありません。まだまだ紹介しきれなかった街、ベルリン、ミュンヘン、ドレスデン等々、いずれ機会を見て紹介したいと思っています。どうぞお楽しみに。

のんびり昼食を食べる少年。外で食べる食ことは気持ちがいい

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インデックス

連載目次
第7回 番外編:環境都市・フライブルクを訪ねる
第6回 旅最後は温泉保養地バート・ホンブルクで
第5回 鉄道ファンも愛してやまないハルツ狭軌鉄道のSLに乗ってブロッケン山へ
第4回 ハンブルクからハノーファーへ - 起点を決めてあちこちに移動してみよう
第3回 快適な寝台特急で寝ている間に移動する
第2回 ドイツ国境の街・コンスタンツを訪れる
第1回 ドイツの鉄道網とその魅力

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