個別指導塾を有効に活用するには?

今回は、家庭教師と並列の位置付けにある個別指導塾の活用法についてお伝えします。

保護者の負担を軽減するメリット

同じマンツーマンの授業が可能であっても、大手集団塾に通わせた上での学習フォローとして家庭教師を選ぶ方が多いと思います。その理由の最たるものは、なんといっても子どもの体力への懸念です。送迎の時間的ロスや手間を省きたいといった家庭にとってメリットが大きいからです。

しかし家庭教師と比較して、個別指導塾にもメリットはあります。それは、保護者の負担が軽くなるということです。まず、家の中に人を招き入れる準備をしなくても済みます。共働き世帯にとって常に家の中を掃除の行き届いた状態にするのは難しいかもしれません。その点、個別指導塾であればそのような負担はクリアされます。

次に指導の様子を監督する必要がないというのも大きいです。前回、家庭教師に質の高い指導を求めるなら、親が家で指導を見ていられる時間帯をチョイスしましょうとアドバイスしました。個別指導塾では、校舎を預かる校舎長、教室を預かる室長などの責任者がいるので、安心ですよね。

最後に指導の時間がしっかりと区切られていることもメリットと言えるでしょう。家庭教師の中には、指導後の話が長く、家を出られるまでに時間がかかる方もいます。個別指導塾ではそのようなことが少なく、時間を有効に使うことができます。

塾を選ぶ時には講師の「経歴」を重視せよ

個別指導塾というと、学生講師のイメージが強い方もいらっしゃるかもしれませんが、家庭教師と同じくプロ講師に指導してもらうことをオススメします。ただ中学受験は、小学生の受験という点で特殊ですから、中でも中学受験の指導経験が豊富な講師である方が有用といえます。

その点を踏まえて、中学受験の指導経験の有無を知るために「経歴」を聞きましょう。家庭教師の場合、講師の経歴を書面にして渡してくれる派遣会社が多いのですが、個別指導塾となると、そうでない場合が多いからです。時間的制約のある共働き家庭では、何よりも塾の選択に時間をかけてください。指導が始まってから「こんなはずじゃなかった」「子どもの学力が上がらない」と気づき、塾を変えなければならないといった事態を避けるためです。

「担当講師以外に相談」が効果的

塾を選んだら、次はどのように活用するかです。一般的な個別指導塾では、担当講師が授業終了後、その日の授業内容について親に報告してくれます。しかしそれとは別に、必要があれば面談や相談に応じてもらいましょう。例えば合格までの道筋や軌道修正、志望校対策や併願校の相談などの内容は、別途面談を設定してもらったほうが、より子どもに合った提案をしてもらいやすくなります。

また「テストが近いので、その対策をしてください」といった要望など、授業内容に希望がある場合は、少なくとも数日前までに講師に相談しましょう。準備できる分、質の高い指導が受けられます。

個別指導塾を利用する場合は、特に強化したい科目のみを受講する形が主流ですが、ここで大切なのは、受講していない科目に関しても積極的に相談してみることです。受験は複数科目で合否が決まります。ここを理解している塾であれば、親身になって相談にのってくれるでしょう。時には講師が志望校合格のために他の科目の受講を勧めることもありますが、その場合は、営業目的か子どものためを第一に考えての提案か見極めてください。いつも親身に相談にのってくれる塾で、さらにわが子の成績が塾に通う前よりも上昇傾向にあるのであれば、アドバイスは信頼に足ると思います。

家庭教師と同じくマンツーマン指導であるだけに、保護者の関わり方がその学習効果を左右します。要所要所の相談は必ず行うようにすること。これこそが、個別指導塾を最大限にいかすコツと言えるでしょう。

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著者プロフィール

中学受験ドクター講師 春野陽子
日能研で約10年間にわたって中学受験の国語指導を担当したのち、中学受験ドクターの講師として活躍。元中学受験ママでもあり、2人の息子をそれぞれ巣鴨中学校と海城中学校に合格させた実績を持つ。講師としての立場、先輩ママとしての立場の双方から、親たちに向けた受験のアドバイスを行っている。
中学受験ドクター