大井川鐵道のダイヤは昨年夏の第10回でも紹介した。「きかんしゃトーマス号」が走り始めたときだ。今年は「トーマス号」に加えて「ジェームス号」も走る。そこで再び大井川鐵道のダイヤを描いた。今回は普段のSL運転日と比較して、ダイヤの変化を比較してみる。そして、「トーマス号」「ジェームス号」がともに走る日のダイヤも描いた。前後の列車を利用して、効率的な撮影行動を考えてみよう。

7月9日に行われた試乗会の様子

大井川鐵道のSL列車は平日1往復、土休日は2往復、繁忙期は3往復となっている。ダイヤにはあらかじめ3往復分のSL急行が設定されている。1往復は定期列車の「SLかわね路1・2号」だ。「トーマス号」「ジェームス号」を運行する場合、臨時SL急行のスジを使う。ちなみに、「スジ」とは列車ダイヤで列車を表す斜めの線だ。

まずは大井川鐵道大井川本線(金谷~千頭間)の通常時の列車ダイヤを眺めてみよう。細い実線が普通列車、太い線がSL列車で、実線が毎日運転する「SLかわね路1・2号」だ。点線は臨時SL急行「SLかわね路11・12号」「SLかわね路13・14号」である。

大井川鐵道大井川本線の列車ダイヤ(通常時)

SL列車が2往復のときは、新金谷駅10時38分発「SLかわね路13号」と千頭駅14時10分発「SLかわね路14号」が走る。どちらも定期SL急行より前のスジだ。SL列車が3往復のときは、さらに前の新金谷駅10時0分発「SLかわね路11号」と千頭駅13時39分発「SLかわね路12号」が走る。増発列車は定期列車より早い時間に追加されていく。

金谷駅と新金谷駅を結ぶ「臨」のマークは臨時普通列車だ。大井川鐵道は金谷駅で東海道本線に接続するけれど、SL列車は隣の新金谷駅を始発・終着としている。そのため、東海道本線の列車から乗り継ぐための臨時列車を設定している。SL列車それぞれに接続する下り臨時列車と、車両を新金谷駅に送り込むための上り臨時列車がある。

よく見ると、金谷駅と新金谷駅を結ぶ「1区間だけの普通列車」は他の時間帯にもある。大井川鐵道沿線で最も人口が多い地域は新金谷駅周辺で、金谷駅まで1駅間の需要が多い。もっとも、両駅間の線路はかなり迂回しており、歩いても15分程度である。荷物が少ないなら、楽しい散歩コースかもしれない。

「トーマス号」運転日のダイヤ

続いて「トーマス号」のみ運転する日のダイヤを作成した。青い線が「トーマス号」で、「かわね路13・14号」のスジを使っている。ただし、スジの置換えだけでは終わらない。緑色のスジが6本も増えている。これは「トーマス号」「ジェームス号」の運転日に走る臨時急行列車だ。下り「トーマス号」に乗った利用者が帰るとき、上り「トーマス号」を予約した利用者が千頭駅に向かうとき、といった用途を想定している。

「トーマス号」1往復のために、臨時列車が3往復も設定されているとはすごい。乗車するだけではなく、観に行こうという利用者も多いらしい。皆さん、大井川鐵道へはなるべく自家用車ではなく、公共交通機関で行こう。臨時急行列車も珍しい列車だ。

ジェームス運転日のダイヤ

「ジェームス号」だけ運転する日のダイヤも作成した。赤いスジが「ジェームス号」だけど、見ての通り、「トーマス号」のスジが「ジェームス号」に置き換わっただけだ。千頭駅に注目しよう。下り「ジェームス号」が千頭駅に到着した後、「SLかわね路2号」が千頭駅を発車するまで。この時間が興味深い。客車からSLを切り離し、SLが単独で動いて、転車台でくるりと回り、また客車につながる。この一連の作業はぜひ見物したい。

「トーマス号」「ジェームス号」運転日のダイヤ

今夏、「トーマス号」「ジェームス号」が両方走る日は、7月11・12日と8月27・28日の4日間だけ設定されていた。この記事を読んで「トーマス号」「ジェームス号」の共演を見たいと思っても、8月の2日間くらいしかチャンスがなさそう。もう少し早く掲載すれば良かった、申し訳ない……と思っていたら、7月11日に大井川鐵道から新たな発表が。なんと、今年はクリスマスシーズンも運行するそうだ。12月19・20・23日も同じダイヤで運行予定だという。

「トーマス号」「ジェームス号」が運行される日も、「SLかわね路1・2号」は運行している。黒い蒸気機関車と茶色の旧型客車の組み合わせを好むファンも多いのだ。したがって、「トーマス号」「ジェームス号」が両方走る日は、SL列車3往復体制となる。「トーマス号」は「かわね路13・14号」、「ジェームス号」は「かわね路11・12号」のスジを使う。

大井川鐵道のダイヤはSL列車のすれ違いを設定していないから、「トーマス号」「ジェームス号」がどこかの駅で「やぁ!」なんて挨拶する場面がない。ちょっと残念だけど、そんな場面を再現したら、小さな駅に大勢のファンが集まって危険かもしれない。その代わり、千頭駅では「ジェームス号」が到着する11時13分から「SLかわね路2号」が発車する14時53分まで、たっぷりとSLの入替えや転車台回転を楽しめる。

そこで、この日に「トーマス号」「ジェームス号」に乗らず、撮影だけを楽しむ移動ルートを検討してみよう。まずは金谷駅9時35分発の臨時急行列車で川根温泉笹間渡駅へ。徒歩数分で撮影名所の大鉄橋付近に行ける。河原から「ジェームス号」「トーマス号」の鉄橋走行を撮影して、11時42分発の普通列車で千頭駅へ。

千頭駅構内で「ジェームス号」「トーマス号」の様子を撮って、ひと足先に13時31分発の臨時急行列車か、その前の12時45分発の普通列車に乗り、途中のどこかでまた「ジェームス号」「トーマス号」、さらに「かわね路2号」も撮って、臨時急行列車か普通列車で金谷駅に戻る。もし時間に余裕があるなら、新金谷駅で降りて、こちらの転車台を撮影しても良いかもしれない。新金谷駅の向かいにある「プラザロコ」はお土産も多く、ミニ博物館もある。

ところで、当連載で愛用している列車ダイヤ作成ソフト「Oudia」は、路線ごとに複数の異なるダイヤを管理できる。既存のダイヤをまるごとコピーして、それぞれを加工すれば、今回紹介したような4つのダイヤを簡単に作成できる。ダイヤのコピー手順は次の通り。

ダイヤのフォルダツリーのルートにある「ダイヤ」を右クリックして「新規作成」を選択。新たなダイヤファイルが作られたら、先に作ったダイヤの時刻表画面で「CtrlキーとAキー」を押してすべて選択。続いて「CtrlキーとCキー」を押してクリップボードにコピー。新しいダイヤの時刻表画面で「CtrlキーとVキー」を押して貼り付ける。あとはコピーしたダイヤを加工するだけだ。あらかじめ定期列車だけのダイヤを作っておき、撮影に出かける日ごとに臨時列車を反映したダイヤを作るという要領で使うと便利だ。

※鉄道撮影において、危険をともなう行為、鉄道係員や近隣にお住まいの人々、あなたと同じように撮影を目的とした人に迷惑をかける行為はおやめください。マナーをわきまえて気持ちよく撮影しましょう