こんにちは。写真家の桐島ナオです。この連載では猫を一眼デジタルカメラで撮影する際のコツや撮影時の設定、レンズ選びなどを含めて御紹介します。今回は「猫が可愛いく撮影できる構図あれこれ その1」です。

構図の考え方とは……??

カメラの使い方が分かるようになった方からよく頂く質問の一つに「構図がわかりません」「構図に悩みます」「どういう風にしたら良い構図になりますか?」というのがあります。

写真撮影において、どんなものを撮っても「構図」というのはついて回りますのでとても重要なことではあります。

ただ、筆者が教える写真教室では「○○法」などと名前がついた構図は教えません。「この被写体にはこの構図を当てはめればいい」という被写体は世の中に存在しないと考えているからです。

構図も表現方法の大切な一つ。今までの連載の中にあったたくさんの「コツ」と同じように大切にしたいですね。それにはまず、被写体をよく見つめること。

特に猫撮影においては被写体の「良いところ」「好きなところ」「撮りたいところ」を見つけることが何より重要です。

「どっからでもかかってきニャさい!」

まずはピントを合わせるべき場所を見つけること

構図、というと難しく考えてしまう方が非常に多いのですが、まずはピントを合わせるべき場所を見つけることから始めましょう。今、目の前でごろりと横になっている猫がいるとします。

この猫の「どこにピントを合わせたらイイ感じの写真になると思いますか?」と聞くと、ほとんどの人が悩んでしまいます。では、質問を変えましょう。

この猫の「一番可愛いと思う場所はどこですか?」と聞くと、みんな笑顔で答えてくれます。

「ちょっと不機嫌な感じも可愛い!」

「なでなで、いいだろう!!なドヤ顔も可愛い!」

「座ると足がなくなってモップみたいなのも可愛い!!」

それぞれの表情がとっても可愛いですよね。でも、それは人によってそれぞれ違います。

あなたが「いい!」「可愛い!」「撮りたい!」と思う場所、瞬間。そこにまずは、ピントを合わせましょう。それにはカメラを構えてファインダーをのぞくことよりも、猫の個性や動き、しぐさ、チャームポイントを探すことの方がずっと大切です。

眠っているしぐさひとつでも、「眠そうな目が可愛い……」のか、「ぺたんと伏せた耳が可愛い……」のか、「ちょこんとそろえた前足が可愛い……」のか全てが違います。生き物の写真は目にピントを合わせなければいけない、と考えている人も多いですが、自分が気になった場所、とっても好きな場所にピントをしっかり合わせることが何よりも大切です。

まずは、その「好きな場所」を探すこと。それが構図の第一歩なんです。

ピントを合わせる位置が決まったら……どうするの?

夜のまったりした時間をくつろぐ猫の写真を撮らせていただきました。 ちょっと眠そうな所へお邪魔します。

「んー……ちょっと眠いにゃ……」

耳に注目。片方はこちらを向いていますが、まだ周りも気になるようで片方は部屋の中を向いています。まだちゃんとこっちに向き合っていないみたいですね。少し時間をおいてゆっくり話しかけてみました。

「……何か話してるにゃ……」

猫は窓辺で動かず、話をじっと聞いてくれています。猫の意識がこっちを向いてくれましたね。では、撮影スタートです。

「夜もふけてきましたにゃぁ」

リラックスしたのかぺたんと座り込んでしまいました。ふかふかの胸元がとっても可愛いですね。猫の目線に合わせて撮影をしているのでそのまま一緒に目線を下げます。

この時のピントはずっと目に合わせています。眠そうな表情を見ていると目に物語が生まれそうだったからです。ピントと、撮影したいイメージが固まってきました。

「眠そうな、アンニュイな雰囲気のまったりムードの猫をふんわり撮りたい!」これがイメージです。表情が目に出そうなのでもう少しアップにしてみます。

「ん?アップになったにゃ??」

近寄って背景のボカしを大きくし、ふんわり感を出しています。結構暗い場所なので黒目が大きくなって可愛い雰囲気です。

目線の先(写真の右側)を少し空間として空けました。これは「余白」になります。ピントが合っているのは左の猫の目です。

なぜ右側を空けたかというと、猫の視線の「先」を作りたかったからです。視線の先に空間を作ることによって、その猫の思考の「先」を見ている人に想像させる「余白」を作ります。

「視線の、先……にゃ?」

猫が少しうつむいたので、カメラ目線を下げて下部分の余白を増やしました。目線の先を広くすることで、「間」が生まれます。

アンニュイな猫の夜のゆううつ感や、少しまったりした雰囲気が目線から感じられるでしょうか?

構図にとっての余白とは単なる何もない空間ではなく、被写体が伝えたい「何か」を想像させる場所です。まず、被写体に何を感じたか、何をストーリーとして込めたいかを考えて被写体を見つめましょう。

「伝えたい何か、を見つけるのが大事にゃん!」

難しく考えるよりも、目の前にいる猫のことをまず考えて。「可愛いところ」にピントを合わせて、「その先」があるなら空間を空けてみる。距離感もピント位置も縦横も大事な「構図」のひとつです。

被写体としっかり向き合うことが良い構図の第一歩!

筆者は画面やファインダーに表示する「格子枠(グリッド枠)」を表示しないことをおすすめしています。

この線が画面内にあることで、猫の表情がとても見づらいからです。枠に気をとられてしまうよりも、被写体自体をもっと気にしてあげてください。

「可愛いく撮らなきゃゆるさニャイにゃ!!」

可愛い猫の構図の作り方は、まずその猫の可愛いと思う場所にピントを合わせること。

何かを訴えているような猫や表情が豊かな子は目にピントを合わせると、その猫の個性が引き立ちますが個性は目だけではありませんよね。その猫が持っている、その猫だけの素敵なところ。

それを発見し、伝えることが構図の第一歩なのではないでしょうか。

次回

次回は猫撮影における「猫が可愛いく撮影できる構図あれこれ その2」です。具体的な写真の説明を交えて御紹介していきます。

撮影に関する質問なども連載中で答えていきますので、ご質問などありましたら是非どうぞ!

(写真は全て東京キャットガーディアンにて撮影いたしました)

著者プロフィール

桐島ナオ
写真と詩を組み合わせた物語写真を中心に発表している写真家。植物と猫とカフェが大好き。PhotoCafe写真教室の講師もしています。公式HPはこちらから。

*桐島ナオ主催の保護猫カフェ月イチ撮影会 ネコサツ!*はこちらから。