ハーブティーが肝硬変予防に役立つかもしれない

肝炎ウイルスや多量のアルコール摂取などで罹患することが知られている肝硬変。腹水、黄疸といった症状が出てくるほか、食道静脈瘤や胃静脈瘤といった合併症を起こしたり、肝がんにつながったりする恐れもあり、場合によっては命を落とすこともある。特にお酒が好きな人は注意したい病気の一つと言えるだろう。

ただ、最近発表されたある研究は、毎日ある飲み物を飲むことで、この肝硬変を予防できる可能性を示唆している。海外のさまざまなニュースを伝える「MailOnline」にこのほど、肝硬変にまつわるコラムが掲載されたのでその内容を紹介しよう。

肝臓が長期間損傷を受けると肝硬変になる。肝硬変は200を超えるさまざまな肝臓病の最終段階になることが多く、世界で12番目に多い死因となっているという。そのような肝臓病は不健康な生活スタイルと関連しており、患者は肝臓への損傷を避けるために健康的な食生活を強く勧められることが少なくない。

今回の報告では、毎日コーヒー4杯以上もしくはハーブティー1杯を飲むと肝硬変の予防になるかもしれないことが明らかにされた。どちらの飲料も肝硬変を引き起こす肝臓の瘢痕化を防ぐという。

オランダのエラスムス大学メディカル・センターの研究者グループは今回、2,424人の患者のデータを収集して研究を行った。「コーヒーは一般集団全体の死亡率と逆相関する(摂取によって死亡率が下がる)ことが示されています」と筆頭著者であるサルワ・ダーウィッシュ・ムラド医師は語る。

研究者グループは対象患者に対し、コーヒーや紅茶などの特定の食品をどれぐらい頻繁に飲食するかのアンケートを実施。コーヒーに関しては「全く飲まない」「一日に3杯以下」「一日に4杯以上」という3グループに分類し、お茶に関しては「ハーブティー」「緑茶」「紅茶」をそれぞれ「全く飲まない」「飲む」に分類した。そのうえで、それぞれの回答と肝硬変の関係性を調べていった。

その結果、毎日4杯以上のコーヒー消費と肝臓が硬直化するリスク低減に有意な関係があることを発見した。肝臓の硬直化は、肝臓が損傷している兆候になる。同様の効果がハーブティーでも見られた。非アルコール性脂肪性肝疾患患者においては、コーヒー摂取によって肝臓の硬直化が軽減されたと考えられるとのこと。

コーヒーとハーブティーは安価で世界中で人気がある飲み物なので、肝臓病を予防するのに重要な要素となる潜在性があると専門家はみている。このような役割を果たす正確なメカニズムは不明だが、両方の飲料に含まれている抗酸化化合物が血流に入って、肝硬変の予防になるのではないかと考えられている。

一日に4杯以上のコーヒーとなると、カフェインの過剰摂取を心配する人もいるかもしれない。ただ、国際生命科学研究所の研究者グループがカフェインが人間に与える影響に関する740以上の研究を調査したところ、400mgのカフェイン(コーヒー4杯分に相当)を成人が一日に摂取しても安全だとの見解を示している。

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記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)

米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。