種実類を食べることは健康面でのメリットがありそうだ

ビールのおつまみやちょっとしたおやつなどで重宝するミックスナッツの中には、アーモンドやクルミなどが含まれている。近年、こういった種実類が健康に寄与していることがさまざまな研究で明らかになっているが、今回は腸ガンへの有効性が示唆される研究が発表された。

海外のさまざまなニュースを報じる「MailOnline」にこのほど、「ナッツ類とガン生存率の関係」に関するコラムが掲載されたのでその内容を紹介しよう。

ボストンにあるダナ・ファーバーガン研究所の研究者グループは、ステージIIIの大腸患者936人を分析した。大部分の患者は手術をして化学療法を受けていたが、誰も転移はなかった。このような条件では通常、3年生存率は70%とされている。

患者の19%は週に少なくとも2オンス(およそアーモンド22粒に等しい量)のナッツを食べた。分析の結果、ナッツを定期的に食べた人はそうでない人と比較して、早期死亡リスクが57%低く、がんの再発リスクも42%低かった。研究者グループがアーモンドやペカンナッツ、クルミなどを食べる人を調べると、早期死亡リスクは53%、再発リスクは46%低かったという。一方で豆類やピーナツ、ピーナツバターは何の効能もなかったとのこと。

ナッツ類の摂取が心臓疾患や糖尿病に効能があるとする研究は、これまでにも多く発表されている。そういった背景もあり、「同様にナッツ類が大腸ガンにも効能があるのかどうかを調べることは重要だと感じました」と研究論文の第一著者であるテミダヨ・ファデル氏は語る。

そのうえで、「化学療法を受けた進行ガン患者から『再発や死亡リスクを減らすために他に何をすればよいか』という質問をよく受けます。私たちの今回の研究によって、食生活を変えることと身体を動かすことが重要だと言えます」と説明する。

研究者グループは、従来の治療法からナッツ類の豊富な食生活へと切り替えるべきではないが、大腸ガン患者の生存率を高めることには使えるだろうと主張する。

米国臨床腫瘍学会のダニエル・ヘイズ氏は「大腸ガン患者は楽観的になり、ナッツ類を含む健康的な食事をするべきです。そうすることで、より健康になるだけではなく、ガンの再発リスクを下げることにもなります」と語っている。

※写真と本文は関係ありません


記事監修: 杉田米行(すぎたよねゆき)

米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。現在は大阪大学大学院言語文化研究科教授として教鞭を執る。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。