東京商工リサーチはこのほど、2016年度「コンプライアンス違反」倒産の調査結果を発表した。同調査は、建設業法、医師法などの業法違反や特定商取引法などの法令違反、粉飾決算、脱税、詐欺・横領、不正受給などが倒産の一因となった事例を対象にしたもの。

倒産178件の負債総額は1,145億7,000万円

2016年度にコンプライアンス違反が一因になった倒産は前年度比6.8%減の178件(前年度191件)となり、2年連続で前年度を下回った。同社は「コンプライアンス順守の意識が浸透すると同時に、全体の企業倒産が各種支援策に支えられて低水準をたどり、コンプライアンス違反が一因となった経営破綻が表面化しにくい状況も影響している」と分析している。

コンプライアンス違反関連倒産月次推移(出典:東京商工リサーチWebサイト)

違反内容別にみると、業法違反や法令違反、行政処分、代表者の逮捕などを含む「その他」が前年度比12.8%増の79件で最多。2位は脱税や滞納などの「税金関連」が同25.4%増の64件で、この2つのみが増加し、全体の80.3%を占めた。このほか、「不正受給」は同21.4%減の11件、「粉飾」は同64.2%減の10件、賃金未払いなどの「雇用関連」は同横ばいの9件となった。

倒産178件の負債総額は同59.2%減の1,145億7,000万円と大幅に減少。負債5,000万円未満の小規模倒産が36件(前年度30件)と全体の2割を占めたのに対し、負債10億円以上の大型倒産は26件(同32件)と減少したことが要因という。

産業別では、サービス業他が63件でトップ。以下、建設業26件、製造業25件、卸売業20件、小売業18件、運輸業12件、情報通信業7件、不動産業6件、金融・保険業1件と続いた。