厚生労働省が発表した「平成27年簡易生命表」によると、日本人男性の平均寿命は80.79歳、同じく女性の平均寿命は87.05歳となっている。仮に60歳で定年退職したと仮定すると、単純計算してそこから男性は約20年、女性は25年以上も生きることになる。

退職後は現役時代に比べて収入が激減する人も多い。だが、生活水準をいきなり下げることは難しいし、老後にどのような問題が待ち受けているかもわからない。そんなときは、現役時代から蓄えていた老後資金が役立つ。ただ、"準備"をきちんとしていたかどうかは人によって異なる。

そこで今回、マイナビニュースの40代および50代の会員301名に「老後のための貯蓄」について質問してみたので、具体的な金額と併せて紹介しよう。

Q. 現在、老後(65歳以降)のための資金を貯金していますか?

はい: 54.2%
いいえ: 45.8%

Q. 「はい」と答えた方にお聞きします。1カ月あたりの老後のための貯金額はどれぐらいか教えてください

1位: 1万円以上3万円未満(37.4%)
2位: 1万円未満(22.1%)
3位: 3万円以上5万円未満(19.0%)
4位: 10万円以上(8.6%)
5位: 5万円以上8万円未満(6.7%)

■1万円以上3万円未満
・「年金保険に入って、給与から天引きされるようにしています。これにより、意識をせずとも、お金を確保しています」(42歳男性/精密機器/技能工・運輸・設備関連)
・「使ってしまわないように、年金保険にしている」(44歳男性/官公庁/公共サービス関連)
・「とりあえず、個人年金保険に加入している程度。あとは普通に貯金」(51歳男性/鉱業・金属製品・鉄鋼/技能工・運輸・設備関連)
・「家族全員で小遣いの総額制をしており、平日外食禁止、衝動買いも禁止。60歳で退職、65歳まで雇用延長。66歳から年金、物価変更を加味し、80歳まで生きる」(51歳男性/専門店(総合)/営業関連)
・「節約レシピ本で自給自足の野菜を中心に体に優しい夕食を心掛けている」(40歳男性/その他/その他)

毎月の貯金額の割合

■1万円未満
・「小遣いを、毎年前年比10%削減してきた」(57歳男性/その他/事務・企画・経営関連)
・「病気をしないように心がけることと、よほどの状態でない限り病院には行かない。野菜は、その時期に最も安いものだけ食べる。基本的にお酒やジュースは飲まない。ちらしを見ると買いたくなるので、あえて見ないようにする」(56歳男性/医療・福祉・介護サービス/専門サービス関連)
・「先に貯蓄分は抜いて別口座に移動する」(41歳男性/その他/その他)
・「外食やコンビニはあまり使わない」(43歳男性/その他/その他)

■3万円以上5万円未満
・「カフェなどで簡単に散財しない」(41歳男性/サービス(その他)/専門サービス関連)
・「とにかく光熱費や食費を節約する。病気にならないように健康に気を配る。子供が大学生で仕送りがまだありますので、アルバイトをして協力してもらうこと」(57歳男性/その他/その他)
・「生活はシンプルかつ質素にするようにしている」(54歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「無駄遣いをしない。ギャンブルや酒をやらない」(55歳男性/教育/専門サービス関連)

■10万円以上
・「いつもお金を稼げる方法を意識している」(46歳男性/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「外食は極力控え、電気なども考えてコストミニマムでやっている。ロハスな生き方を参考にしている」(52歳男性/専門コンサルタント/その他技術職)
・「スキンケアやシャンプーなどの生活雑貨はモニターやサンプルプレゼントでほとんど賄っている。懸賞にもマメに応募しているので、お酒や食品などが送られてきて、家計もずいぶん助かっていると思う。また、家は買わず結婚当初から社宅住まい。家賃がとても安いので浮いた分を貯蓄にまわしている」(42歳男性/半導体・電子・電気機器/事務・企画・経営関連)

■5万円以上8万円未満
・「年金保険の活用」(55歳男性/生命保険・損害保険/営業関連)
・「外食はめったにしない。する場合は食べ放題の店1回の利用で2日分の全食事とする。食材は極力安いもので栄養バランスを考えて買い、より安いネットでの米購入を開始」(44男性/サービス(その他)/事務・企画・経営関連)
・「資金運用(株式など)している。」(42歳男性/教育/公共サービス関連)
■総評

半数を少し超えた163人(54.2%)が老後のための資金を貯金しているという結果となった。今回は40代・50代の中高年層にターゲットを絞って聞いてみたが、およそ半分は10年、ないしは20年後に迫ってきている老後に向けた特別な蓄えをしていないことが判明した。

実際に老後資金を貯めている人に毎月の金額を尋ねたところ、「1万円以上3万円未満」の支持率が最も高く、3人に1人を超えた。その金額の捻出方法として目立った回答は「給与からの天引き」と「食費を抑える」。特に後者に関しては「外食を控える」という意見が多く、「最も支出を削りやすい分野」と考えているようだ。

総務省が発表している「平成27年国勢調査」によると、日本の総人口に占める65歳以上の割合(高齢化率)は26・7%に達し、同調査の開始以来初めて25%を突破した。イタリア(22.4%)やドイツ(21.2%)よりも高く、世界で最も高い水準にあるという。長く生きる分だけ生活費がかさむのが一般的なため、私たちはそれだけしっかりと"準備"をする必要があると言えよう。

超高齢社会のただ中にある日本は近年、「健康寿命」(健康面に問題がない状態で日々の生活を送れる期間)と平均寿命に差があることが指摘されている。この2つに差があると当然、医療費や介護費がかさむことになる。もしもに備えた貯蓄も大切だが、毎日の健康維持・増進に努めることも必要だと肝に銘じておきたい。

調査時期: 2016年12月21日
調査対象: 40代と50代のマイナビニュース会員
調査数: 301名(男性221名 女性80名)
調査方法: インターネットログイン式アンケート