JR北海道は北海道新幹線の開業後、初めて迎える厳寒期の安定輸送確保に向けた取組みの内容を発表した。これまでの経験を踏まえて新たな手法を取り入れ、ポイントの凍結や車両着雪といった冬期間における課題の解決に努める。

凍結防止剤散布用タンクをけん引するブラシ式除雪車(JR北海道提供)

JR北海道によれば、北海道新幹線には構造が複雑な三線分岐器が12カ所あり、積雪や凍結によるポイント不転換を防ぐため、スノーシェルターやヒーター、エアジェット式の除雪装置を備えているという。しかし、これらの対策にもかかわらず、昨シーズンは14件のポイント不転換が発生したことから、今季は新たにポイントを稼働させる部分にマットヒーターを敷設し、ポイント部に堆積する雪や氷を解かすこととした。

また、北海道新幹線から東北新幹線の高速走行区間に乗り入れた際、車両に付着した雪が気温の上昇にともなって解け、沿線の民家に飛散したり鉄道設備を損傷させたりするおそれがあった。車両着雪は、軌道上に積もった雪が列車の走行によって舞い上がり、それが車体に付着すると考えられることから、これを解決するためには軌道上の雪を極力少なくする必要があるという。

このため、現在はレール面下3cmまでとしている除雪深さを7cmまで拡大。さらに従来はレールとレールの間のみ(1.35m)としていた除雪幅をレールの外側にも広げ、2.89mまで拡大する。この作業は、作業車両(確認車)にフランジャーと呼ばれる除雪装置を取り付けて行う。

さらに軌道上の雪を少なくするため、確認車による除雪後、ブラシ式の除雪車(モーターカー)を用いてレール面下10cm、幅2.2mまで除雪。凍結防止材を満たしたタンクをモーターカーで牽引し、除雪が終わった箇所に散布することで軌道上に残った雪の舞い上がりを防ぐ。これらの対策を取ってもなお、車両着雪が発生する可能性があるため、新青森駅以南に乗り入れるすべての上り新幹線に対し、新青森駅で人力による雪落としを行う体制を整える。