猫に与えてはいけない魚介類を獣医師が解説

 

「猫といえば魚好き」という印象がありますが、実はこれ、日本独自のイメージだったようです。港町に住み込んだ猫が漁師から残った魚をもらって生活していたことが、猫=魚好きというイメージが定着した要因だといわれています。

日本以外でも、イタリアの港町など漁業が盛んな地域では同じように猫といえば魚のイメージが強いようです。ただし猫には危険な魚介類もあるので注意しましょう。

青魚(イワシ、サンマ、サバ、ブリ)

青魚には、不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。不飽和脂肪酸の仲間であるDHAやEPAは血液をサラサラにする効果があり、健康や美容に効果があるではないかと注目されています。

この不飽和脂肪酸は分解する時にビタミンEを大量に消費するため、青魚ばかり食べていると、ビタミンE不足になり、その結果脂肪が黄色に変色する黄色脂肪症という病気なってしまいます。

脂肪が暗い黄色に変色する他、発熱、元気がなくなる、触ると痛いなどの症状が現れます。ペットフードの普及に伴い発生数は減少しましたが、青魚の偏食、バランスの悪い自作フードを食べている猫で発症することがあります。

タコ、イカ、カニ、エビ、ハマグリなどの生食

生のイカやハマグリには、チアミナーゼというビタミンB1を分解する酵素を多く含んでいます。猫は体が小さい割にはビタミンB1の必要量が高く、チアミナーゼを含む魚介類を生で食べるとビタミンB1欠乏症になりやすくなります。

ビタミンB1が不足すると人間では脚気(かっけ)を起こすことが有名ですが猫も同じように重症になると歩けなくなります。そのため「猫にイカを食べさせると腰を抜かす」という通説が残っています。

その他には食欲不振、嘔吐などの症状があります。こちらもペットフードの普及に伴い、非常に稀な病気になりましたが偏食をしている猫で発症する可能性があります。

アワビ、サザエ

アワビやサザエの肝と呼ばれる黒い部分(中腸腺)には、海藻に含まれるクロロフィルが代謝されたフェオフォルバイドと呼ばれる物質が溜まっています。

クロロフィルは、植物では光合成の時に光エネルギーを吸収する大事な役割がありますが、動物の体内に入った場合はフェオフォルバイドに分解され、この物質が光を浴びると活性酸素を作り、炎症を起こし腫れやかゆみの原因になります。

これを光線過敏症といいます。特に耳など太陽を浴びやすく、皮膚が薄い部分に症状が強く出ます。逸話的に「猫がアワビを食べると耳が落ちる」というのは皮膚炎により耳がボロボロになってしまうことを示しています。

その他 人間と同様の注意を猫にも

アニサキスなど、人間で問題になる寄生虫は猫にも症状を起こします。加熱が不十分な状態では与えない、新鮮なものを猫にもあげることが予防になります。

またサケなどの骨が喉に刺さることもあります。日頃カリカリフードを食べている猫は慣れていないのでしっかり骨がないことを確認してからあげましょう。

まとめ

黄色脂肪症とビタミンB1欠乏症は、偏った食生活をしない限り通常は発症しないので現在では非常に稀な病気です。お刺身などついつい愛猫が寄ってくると一切れあげてしまいますが、それぐらいの少量であれば大丈夫です。

光線過敏症に関しては、猫が肝の部分を食べないように、処理に気をつけましょう。生ゴミを漁ったり食べ残しを狙っているかもしれません。

なかなかアワビの身をもらえる猫は少ないと思いますが、身の部分は食べても大丈夫です。そしてしっかり加熱し、猫にも新鮮なものをあげましょう。

■著者プロフィール
山本宗伸
獣医師。Syu Syu CAT Clinicで副院長を務め、現在マンハッタン猫専門病院で研修中。2016年春、猫の病院 Tokyo Cat Specialistsを開院予定。猫に関する謎を掘り下げるブログnekopediaも時々更新。

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