三菱航空機と三菱重工業は12月24日、次世代リージョナルジェット機 MRJ(Mitsubishi RegionalJet)の量産初号機の納入時期に関して、2017年第2四半期から1年程度先延ばしすることを発表した。今回の発表で納入延期は4回目となる。

ANAへの量産機の初号機納入は2018年4~6年頃の見通しとなっている

MRJに関しては11月11日に実施された試験初号機の初飛行、また、11月19日と27日に実施された飛行試験も踏まえた試験を行っており、機体の基本特性が良好であることを確認している。しかし、同社は開発を加速する中でいくつかの課題を認識し、これらの対策のために全体スケジュールのレビューを行い、スケジュールを変更した。

具体的には、これまでにエンジニアリング作業を米国知見者と共同で進めていく中で、より完成度の高い機体にするため、試験項目の追加・見直しを行う。なお、パートナーとも全体レビューを行い、開発スケジュールに反映していく。

今後、開発マイルストン管理を行い、進捗に合わせてスケジュール精度を高めていくとしている。また、北米での飛行試験の早期実現、3拠点(三菱航空機本社・シアトルエンジニアリングセンター・モーゼスレイクテストセンター)の役割・体制を明確化し、各種作業の加速など施策を講じて、開発作業を推進していく。

同社は今回の発表に関して、「これらにより、安全・安心で完成度の高い機体と高品質なサービスをお客様に提供することを目指します」とコメントしている。

ローンチカスタマーであるANAは、2008年3月に25機(確定15機、オプション10機)を発注。飛行試験機5号機はANAの塗装仕様にて、国内での飛行試験を実施する見通しとなっている。また、JALも2015年1月に32機を確定発注しており、JALへの納入は2021年開始を目指している。

なお、MRJ開発に関して愛知県も大村秀章愛知県知事等が12月16日に石井啓一国土交通大臣に対し、型式証明の取得に向け審査能力の充実を図ること、今後、米国を中心に実施するMRJ飛行試験の技術審査に係る経費など必要な予算を確保に向け、要望活動を行っている。

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