いすゞ自動車は18日、大型路線バス「エルガ」を15年ぶりにフルモデルチェンジして発売した。今回の改良により、利便性・安全性のさらなる向上や、車いす乗降の簡易化・時間短縮化、バリアフリー・ユニバーサルデザインのレベルアップ、環境性能・燃費性能の向上などを果たしている。

15年ぶりにフルモデルチェンジした大型路線バス「エルガ」

主な改良点は、バリアフリー・ユニバーサルデザインとして、優先席を前向きにして伝い歩き棒を新設するなど、優先席まわりの安全性を向上したほか、反転式スロープ板の採用によって車いす乗降の簡易化および時間の短縮を図っている。作業を省力化する、巻き取り式ベルトによる新たな車いす固定装置も採用された。また、床をフラットにするために左前タイヤハウス上部へ燃料タンクを移設したことで、優先席を前向きにすることができ、ノンステップエリアが拡大されたほか、乗車定員数も増加している。

エクステリアは、クリーンでシンプルなスタイルを追求し、新しい外観デザイン・ニューフェイスとなっている。ディスチャージヘッドランプの採用による視認性の向上、ホイールベース延長によるノンステップエリアの拡大、フロントオーバーハングおよびリヤオーバーハングの短縮、アプローチ角度およびデパーチャー角度の拡大によるワンステップ車並みの走破性の確保なども行われ、大量輸送に適した11.1mクラスも新設定した。

インテリアは、室内高アップや側窓エリア拡大によって、より開放的な室内空間を実現。客席シートのグリップ幅拡大、新デザインの樹脂製シートバックの採用による軽量化、室内灯や車外照射灯など灯火器には長期間交換不要なLED式ランプを採用し、メンテナンスコスト削減とともにメンテナンス性も向上させている。

エンジンは、軽量コンパクトな250馬力の4HK1-TCSディーゼルエンジンを搭載。2ステージターボによって全回転域において高効率なターボ効果を発揮し、燃費向上に貢献する。排出ガス後処理装置としてDPDと尿素SCRを採用し、車両全体で約600kgの軽量化も燃費性能向上に繋がっており、重量車モード燃費は平成27年度重量車燃費基準を14トン超車AMTで+10%を達成、14トン超車ATで+5%を達成。また、九都県市低公害車指定制度の平成21年基準「優」低公害車に適合している。

トランスミッションは、AMT(自動クラッチマニュアルトランスミッション)とATの2種類を展開。AMTではクラッチ操作が不要となり、アクセルとブレーキの2ペダルでの運転操作が行えるほか、ATのようにクリープを利用した微速走行が可能。年齢や性別を問わず、運転経験の少ない人でも操作がしやすくなっている。AT車の操作パネルには、オイルやフィルターの状態をモニターする予後診断機能が追加され、最適な交換時期をサービスインジケーターによって知ることができる。

大型路線バス「エルガ」の東京地区希望小売価格は、車型「QRG-LV290N1(GVW14トン以上)」が2,609万9,280円、車型「QPG-LV290N1(GVW14トン以上)」が2,715万7,680円(いずれも税込)。