寝台特急「トワイライトエクスプレス」が12日、最終運転日を迎えた。これに先立ち、10日には報道公開が実施され、車両外部の洗浄シーンや検査・整備シーンも公開。メンテナンスに長年携った担当者が、同列車への思いを語った。

3月12日11時50分、寝台特急「トワイライトエクスプレス」が大阪駅を発車(写真はJR西日本提供)

同列車の第1編成が落成し、団体専用列車として運行開始されたのが1989年7月。続いて第2編成が落成し、1989年12月から臨時列車としての運行が始まった。1991年3月に第3編成が落成したことで、繁忙期の毎日運転が可能に。この3編成で今日まで運用されてきた。

「第1・第2編成の仕様はほぼ同じですが、第3編成の4号車(サロンカー)だけ少し違っていて、テーブルなどが固定なんです。他の編成だとテーブルを退けて掃除機をかけたり、じゅうたんのしみを抜いたりできるんですが、第3編成はちょっとやりづらかったですね」と語るのは、おもに車内清掃を担当するジェイアール西日本メンテックの田中憲一さん。第3編成は他の編成より清掃しにくかったものの、「手間がかかる分、かわいげがあるなあと思って(笑)。愛着がありますね」と話した。

田中さんは入社以来20年以上にわたり、「トワイライトエクスプレス」のメンテナンスに携ってきたという。「長いことこの仕事を続けられたのもトワイライトのおかげ。僕にとって会社の同僚みたいな存在です」と言う田中さんは、同列車の最終運行に向けて、「最後だから"出血大サービス"で、いつも以上に隅々まで清掃しました。事故もなく、無事終点に到着してほしいと思います」と話していた。

3月10日の報道公開にてインタビューに応じた田中憲一さん(写真左)と羽生隆男さん(同右)

「トワイライトエクスプレス」の検査・整備を25年間担当してきたJR西日本の車両管理係、羽生隆男さんも、「手間のかかる車両だっただけに寂しいし、愛着があります」とコメント。豪華寝台列車として活躍してきた同列車も車両の老朽化が進み、間近で見ると傷みが目立つ。「車両としてはまだ走れるけど、お客さんを満足させられるか……。検修の立場からいえば、潮時でもいいのかなと思ってます」と羽生さんは言う。

過去には寝台特急「日本海」「つるぎ」、急行「ちくま」も担当するなど、客車一筋だったという羽生さんだが、「トワイライトエクスプレス」の運行終了を見届けた後、自らもJR西日本を退職するとのこと。「検査マンとして寂しい気持ちもあるけど、ほっとした部分もあります」「いまは平常心でも、トワイライトの最終日はちょっと感情的になるかも。その日は仕事だけど、出場時に手を振って見送るかもしれないですね」と話していた。

この報道公開では「トワイライトエクスプレス」の第1・第2編成が並び、第2編成の車内も開放された。第2編成は当初、11日の大阪発の列車に使用され、12日の札幌発の列車でラストランとなる予定だったが、11日が運転取りやめとなったことから運用が変更され、12日の大阪発の列車に使用されたという。大阪発札幌行「トワイライトエクスプレス」は11時50分、大阪駅を発車。終点の札幌駅へ走行を続けている。

寝台特急「トワイライトエクスプレス」大阪駅発車の様子(JR西日本提供)