暖房をこまめに切るより、つけっ放しの方がお得な場合も!?

寒さも本格化。暖房代が気になる季節である。起床時に冬の電気代といえば、エアコン使用が気になるところ。そこで、空調総合メーカーのダイキン工業 コンタクトセンター営業技術の方に節電のポイントを聞いてみた。

ポイントは温度設定

「エアコンは室温と設定温度の温度差が大きいほど運転負荷がかかり、電力消費を押し上げます。今のエアコンは希望する温度に設定しておけば自動調節してくれるので、1時間以内の外出などで部屋の温度が急激に下がってしまうよりは、つけっ放しにして一定の温度で運転を続けていた方が、結果的に省エネになることも多いのです。」

「車に例えれば、A車とB車があったとします。時速100kmのA車に追いつこうと思って、時速150kmのB車で追いかける。追いついた時点でB車はストップして、しばらくしてから再び150km出してA車を追いかける。これを繰り返すB車より、ずっと一定の速度100kmで走っているA車の方が、燃費がいいのと同じ、というイメージです」。

つまり、室温10度に下がってしまった部屋を帰宅後に28度にして一気に温めるよりも、1時間程度の外出なら20度設定にしてつけっ放しの方が、電気代は安くなることもあり得るということだ。エアコンという機械の仕組みを知り、「止めることだけが必ずしも節電にならない」という知識を持っておくことは大切である。

長い時間を過ごす部屋はエアコンが効率的

エアコンを使う部屋にも条件がある。東京都地球温暖化防止活動推進センターの「家庭の省エネハンドブック」によれば、電気ストーブやオイルヒーター等、電熱で暖める機器は消費電力や電気使用量が多くなるので、リビングなど過ごす時間が長い部屋には、ヒートポンプ技術で少ないエネルギーで暖めることができるエアコンが適しているそう。

朝起きた時や帰ったばかりなどすぐに部屋を暖めたい時は、灯油ファンヒーターやガスファンヒーターなどとの併用をし、部屋が暖まったらファンヒーターを消し、エアコンだけで暖房すると換気も不要で効率的だそうだ。

ちょっとの"差"で節電ができる

「節電しなきゃ!」と思っても、具体的な方法が思いつかない人のために、何に気をつければどの程度の効果があるかを書いておこう。塵もつもれば山となる。ちょっと気をつける"差"が、年間にするとソコソコの金額になることは知っておきたい。

なお、数値は年間額年間額(一般的に使用する日数)で算出し、電気: 25.19円kWh(東京電力より)、ガス: 135.49円/立方メートル(東京ガスより)、灯油: 105.4円/L(資源エネルギー庁より)を元にしている。

暖房時の室温は20度を目安にする
外気温6度の時、暖房設定温度を21度から20度と1度低くして1日9時間使用した場合の差額は、エアコンなら1,340円、ガスファンヒーターなら1,110円、石油ファンヒーターなら1,080円安くなる。

電気カーペットは必要最低限の部分だけ温める
室温20度の中で設定温度が「中」の状態で1日5時間、電気カーペットを使用した場合、3畳用のカーペットと2畳用のカーペットで比較した時の差額は2,260円となる。

電気カーペットの設定温度は「強」から「中」にする
1日5時間使用したとして、電気カーペット3畳用で設定温度を「強」から「中」にした場合の電気代の差額は4,690円になる。

以上のことを踏まえて、冬の節電のポイントをまとてみた。これからさらに寒さが増す季節、今からでも実践してみてはいかがだろうか。

(1)1時間程度の外出ならエアコンつけっ放しの方が、結果、省エネになることもある
(2)部屋をすぐに温めたい時は20度設定のエアコン+ファンヒーターを併用し、温まったらファンヒーターを消す
(3)暖房時の室温は20度を目安にする
(4)電気カーペットは必要最低部分だけ温める
(5)電気カーペットの設定温度は「強」ではなく「中」にする

※本文と写真は関係ありません

筆者プロフィール: 楢戸 ひかる(ならと ひかる)

1969年生まれ 大手商社勤務を経てフリーライターへ。中学生と小学生の男児3人を育てる主婦でもある。生活に役立つ情報を「主婦er」にて更新中。また、長期投資を始めた日々の記録をメルマガ「主婦が始める長期投資」で配信中。メルマガ申込みは「主婦er」より。