いつも安定した周期でやってくる生理がなかなか来なかったり、遅れ気味だったりすると心配になりますよね。生理は女性の健康をはかるバロメーター。生理や生理周期に注目することで、体の内側で起こっていることを知ることができます。では「生理の遅れ」は、一体どんなことを表しているのでしょうか?

生理周期の乱れは、体からのサイン

生理が遅れている場合、次のような原因が考えられます。

・妊娠
まずは妊娠の可能性。セックスしていれば、たとえコンドームなどで避妊したつもりでも、妊娠することはあり得ます。

・ホルモンバランスの乱れ
月経の遅れを始めとする月経不順の原因としてもっとも多いのが、女性ホルモンのバランスの乱れといわれています。生理をコントロールしているのは「卵胞ホルモン」「黄体ホルモン」という2種の女性ホルモン。正常な生理が起こる際には、脳から卵巣にこれらの女性ホルモンを出すよう指令が出ます。しかしストレスで脳がうまく働かなかったり、卵巣の機能が低下して女性ホルモンの分泌が不足したりすると、生理周期が乱れてしまうのです。ストレスのほか、過激なダイエットによる体重減少、不規則な生活、冷えなどもホルモンバランスが乱れる大きな要因になります。

・子宮や卵巣の病気
「生理の遅れ」というサインには、病気がひそんでいることも。例えば「多嚢胞性卵巣症候群」。卵巣の中に多数の卵胞ができ、排卵しにくくなってしまう病気です。また、生理は来ていても排卵していない「無排卵月経」の場合も、生理周期が乱れがちになります。遅れているのではなく生理が来ないという場合は、「早発閉経」の可能性も。現代社会にはストレスが多いためか、20~30代で閉経を迎えてしまう早発閉経の人も増えています。

生理周期の乱れは、体からの変化や異常を知らせる重要なサイン。もし妊娠の可能性が考えられる場合は、生理予定日から一週間を過ぎたころに、まず妊娠検査薬を使ってチェックを。妊娠反応が出たら産婦人科を受診します。

妊娠の兆候がないのに生理が遅れているのであれば、重大な病気にかかっている可能性もあります。ストレスなどによる生理不順の場合も、放っておくと将来、不妊の原因になりかねません。自分で原因を特定するのは困難なので、おかしいなと感じたら早めに婦人科で相談しましょう。

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善方裕美 医師

日本産婦人科学会専門医、日本女性医学会専門医
1993年高知医科大学を卒業。神奈川県横浜市港北区小机にて「よしかた産婦人科・副院長」を務める。また、横浜市立大学産婦人科にて、女性健康外来、成人病予防外来も担当。自身も3人の子どもを持つ現役のワーキング・ママでもある。

主な著書・監修書籍
『マタニティ&ベビーピラティス―ママになってもエクササイズ!(小学館)』
『だって更年期なんだもーん―なんだ、そうだったの?この不調(主婦の友社)』
『0~6歳 はじめての女の子の育児(ナツメ社)』など