米Microsoftは5月20日(現地時間)、米ニューヨークで開催したプレスイベントでWindows 8.1 Proを搭載したタブレット端末「Surface Pro 3」を発表した。Surface Pro 2 (10.6インチ)よりも広い12インチのディスプレイを搭載しながら、本体は薄く軽量になった。キックスタンドの角度を自由に調節でき、新しいType Coverを使うとクラムシェル型のノートPCのように脚の上で安定する。また、ノートを開くようにすばやく書き込めるペン機能を備える。5月21日に米国で予約受付を開始。6月20日に北米の小売店においてCore i5モデル(4300U、1.6GHz、Turbo Boost最大2.9GHz)の販売が始まる。さらに8月末までに、日本を含む26市場に販売地域を拡大する計画だ。

イベントでMicrosoftは、Surface Pro 3を「ラップトップの代わりになるタブレット」とアピールした。同社によると、iPadユーザーの96%はノートPCも併用している。軽くて薄いタブレットは、ビデオや電子書籍などデジタルコンテンツを楽しむのに適しているが、生産性という点ではパワフルで作業しやすいノートPCが優れている。どちらかを選ぶと片方のメリットが失われ、両方を持ち歩いている人も少なくない。Surface Pro 3ならば、1台でタブレットとノートPC、両方のメリットを享受できるとしている。

iPadユーザーの96%はノートPCも所有している。

搭載プロセッサは、第4世代のIntel Core i7/i5/i3。6月20日に北米で発売になるCore i5モデルは、Core i5-4300U (1.6GHz、Turbo Boostで最大2.9GHz)を搭載する。本体サイズは7.93×11.5×0.36インチ (20.14×29.21×0.91センチ)、重さは1.76ポンド (798グラム)。Surface Pro 2が内蔵しているファンより30%も効率的に冷却するファンを採用しており、細長くデザインした排気口との組み合わせで、ファンを内蔵しながら0.91センチという薄さを実現した。「最薄のIntel Core搭載製品」(Microsoft)だという。イベントでは、AdobeがSurface Pro 3に最適化したPhotoshop CCのデモを披露した。

Surface Pro 3

第4世代のCoreプロセッサを搭載しているが、厚さはわずか9.1ミリで、重さは約800グラム。

効率的に熱を排出するファンを採用して、本体を薄くした。

ディスプレイは12インチのClearType Full HD (2160×1440)で、アスペクト比は3:2である。メモリはLPDDR 3 (デュアルチャネル) 4GBまたは8GB。ストレージは64GB/128GB/256GB/512GB。ワイアレス機能は、Wi-Fi 802.11 ac/a/b/g/n、Bluetooth 4.0 LE。5メガピクセルのリアカメラ/フロントカメラ、USB 3.0ポート、microSDカードスロット、ヘッドセットジャック、Mini DisplayPort、Coverポートなどを備える。

画面が12インチになったが、比率が16:9から3:2になったため、Surface Pro 2との長辺の差は小さい。Surface Pro 2の10.81インチに対してSurface Pro 3は11.5インチ。

生産性も強化された。Surfaceの特徴であるキックスタンドが刷新され、最大150度まで開くようになった。動画や写真の閲覧、キーボードを使ったタイピング、タッチ操作やペン入力……どのようなスタイルでも最適な角度で使用できる。キーボードカバーType Coverも新しくなった。従来のデザインは机の上では安定するものの、脚の上で不安定だった。その問題を新しい「Surface Pro Type Cover」で解決した。Surface本体と接続している部分の下がさらに折り曲がるようになっており、折り曲げて本体に接続すると、キーボード部分がぐらつかなくなって"ラップトップPC"として使用しやすくなる。またトラックパッドのサイズが68%大きくなって、トラックパッドを使ったジェスチャー操作を行いやすくなった。

150度まで自由に角度を調節できるキックスタンドで、使用スタイルを柔軟に変更可能

従来のType Coverは脚の上に置いた時にCoverポートとキーボードの間がぐらついた。

新しいSurface Pro Type Coverは、折りたたむことで本体に密着し、脚の上に置いて安定する。

ボールペンのようにボタンを押してすぐにメモ

タブレットとしてのSurface Pro 3の強化点はペン機能である。縦向きでノートパッドの感覚で使えるようにするために4:3の画面アスペクト比を採用した。デジタルペン「Surface Pen」の底部のボタンを押すと、OneNoteの新規ページが開いて、すぐに書き込める。ノートパッドを開いてペンでノートを取る感覚に近い。カメラやブラウザでSurface Penのボタンを2度押しすると、写真や切り取ったWebページをOneNoteに送れる。

デジタルペン「Surface Pen」は、筆記具のペンに近いデザインに改良された。Surface Pro 3は筆圧検知に対応しており、自然なライティングが可能。

マルチタスク機能を使って、映画を再生しながら、その横で台本に手書きでメモ

Surface Pro 3の米国での構成および価格は以下の通り。

  • Core i3、メモリー4GB、ストレージ64GB:799ドル
  • Core i5、メモリー4GB、ストレージ128GB:999ドル
  • Core i5、メモリー8GB、ストレージ256GB:1,299ドル
  • Core i7、メモリー8GB、ストレージ256GB:1,549ドル
  • Core i7、メモリー8GB、ストレージ512GB:1,949ドル

アクセサリは、Surface Pro Type Coverが129.99ドル、Surface Penが49.99ドル、Docking Station for Surface Pro 3が199.99ドル、Surface Ethernet Adapterが39.99ドル。

Mini DisplayPort、USB 3.0ポート×3、USB 2.0ポート×2、Ethernetポートなどを備えた「Docking Station for Surface Pro 3」

20日のプレスイベントに関して、開催前の報道ではSurfaceの小型モデルの発表が有力視されていた。イベントで披露されたのはSurface Pro 3のみだったが、イベントにおいてMicrosoftはOneNoteとSurface Penで実現するノート機能を強くアピールした。OneNoteで作成したノートはクラウドにアップロードされ、様々なデバイスから利用できるようになる。OneNoteは同社が"デバイスとサービス"の強みを発揮できるアプリケーションであり、小型Surfaceのような新たな製品の追加を含め、同社がどのようにOneNoteとペン機能をサポートするデバイスを拡大していくかが今後の注目点の1つになる。