総務省は16日、昨年末からことし5月末までに、大規模な通信障害を複数回引き起こしたKDDIに対し、個人情報の滅失防止、通信障害の再発防止に向けた取り組みを行うよう指導したと発表した。

4月30日の決算会見で「信頼回復に努めたい」としたKDDI田中孝司社長

KDDIでは、昨年12月31日、ことし1月2日、4月16日から19日、4月27日、5月29日から30日に大規模な通信障害が発生。一連の通信障害はLTEサービスに関わるもので、5月29日と5月30日には音声通話にも支障をきたした。

また、4月16日から19日まで続いた通信障害では、iOS端末用のネットワーク設備の障害により、メールの送受信に障害が発生。一部のiPhoneにおいて端末内に登録された利用者の連絡先等の個人情報が滅失して復元が不可能になる事象も発生した。

総務省では、ことし2月に同社に行政指導をし、3月には携帯電話通信障害対策連絡会の要請にもとづいて総点検を実施したものの、以後も通信障害等が発生。同社にシステム全体の最適化を図る観点からの不十分な点があったと判断し、8月16日までに再発防止に向けた新たな取り組みを行うように文書で指導した。

これにより、同社は、設備、設備の設計、運用態勢等の総点検を実施し、その結果についてのとりまとめを行い、個人情報の滅失を含む今後の事故再発防止に向けた取り組み等についての報告が求められる。報告後1年間、同社には、半年ごとの取り組みの進捗状況についての報告も求められている。

一方、KDDIでは、本日16日、一連の通信障害について厳粛に受け止め、田中孝司社長ら関係責任者の報酬の一部を返上すると発表した。田中孝司社長は月例報酬の20%を3カ月間返上する。