貸傘サービス「室町めぐり傘」のロゴ

三井不動産ビルマネジメントはこのほど、東京都・日本橋室町エリアの8棟の「三井のオフィス」にて、オフィスワーカーのための貸傘サービス「室町めぐり傘」を開始した。

江戸時代の「越後屋呉服店」のサービスを再現

同サービスは、三井家の日本橋での歴史の始まりである「越後屋呉服店」が、江戸時代に営業中ににわか雨が降り出した際に、顧客や通行人に番傘を貸し出したサービス「番傘貸し」を再現するもの。

同店の屋号が江戸中に知られるようになった理由のひとつに、この「番傘貸し」があったとされる。同店では、営業中ににわか雨が降り出すと「越後屋」の屋号が記してある傘を土間に積み上げ、顧客や通行人に貸した。夕立ちやにわか雨が降ると、顧客だけでなく、通行人までもがその傘をさし、江戸の街は「越後屋の傘」でいっぱいになったという。

そうした様子を謳(うた)ったのが、「江戸中を 越後屋にして にじ(虹)がふき」。また、「ごふくやの 傘 内心は かへさぬ気」という川柳もあり、当時も不心得者も当然いたが、越後屋はこの「番傘貸し」により、屋号を広めると同時に、その屋号に「お互いを信頼し合っていこう」という越後屋精神を裏打ちしたともいわれている。

貸し出される傘と設置の様子

今回、同サービスを導入するのは、「日本橋三井タワー」「三井本館」「三井二号館」「三井別館」「三井第二別館」「室町東三井ビルディング」「日本橋本町MK-SQUARE」「日本橋アステラス三井ビルディング」の全8棟。各ビルに約100本設置する。

同社では、このような取り組みを通じて、同社のオフィスビルにおけるコンセプト「WORKERS FIRST~働く人に一番の場所であること~」の理念を、「越後屋」の屋号のように親しみを感じてもらうことを期待しているという。