一度はサウンドライナーで運ばれたお寿司を食べてみたいもの

回転寿司レーンはどこも必ず右回りであるという"右回り伝説"をご存知ですか? 右手で箸を持ち、左手で皿を取るので、皿を取りやすいのは右回り。日本人は右目が利き目であり、右から寿司が流れてくる方が見やすい。様々な理由が言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか? 左回りレーンは本当に存在しないのでしょうか?

回転寿司のレーン(コンベア)を作っているメーカーと言えば、石川県白山市に本拠を構える北日本カコー。回転寿司レーンの世界シェア(レーンは海外にも輸出されている)60%というトップメーカーです。そこで、同社取締役の長戸敏雄さんに、回転寿司レーンが右回りである理由を尋ねてみました。

その皿を取るか取るまいか、判断時間を長くしてくれる

――レーンが右回りなのは、日本人の利き目が右目だから、右利きの人が多いからなど、いろいろな説がありますね。

「はい、その説はおおむね正解です。ほかにも、皿を取るか取らないかの判断時間を長くするという目的もあります。左手で皿を取る場合、右回りの方が流れてきた寿司が自分の好みのものかどうか、取るか取らないかを判断する時間が長くなります」

――なるほど。では、左回りのレーンは存在しないのでしょうか?

「いえ、そんなことはありません。最近では店舗のレイアウトによって、左回りのお店も増えています。例えば、入り口近くにカウンター席を設けた場合、厨房との位置関係で、一番先に寿司が回ってくるには、レーンを左回りにしなければいけない。そんなケースも多いんです」

長戸さんによれば、かつてテレビ番組で左回りの店舗は売り上げが上がらないと報道されたことがあったとか。その影響で、左回りレーンのお店から右回りに変更してほしいとの依頼が殺到した時期があったそうですが、今はそんなことは全くないとのこと。左回りだと売り上げが上がらないということでもないようです。

リニアの原理を応用した、お皿が浮いて回る特急レーンも登場

――レーンの回るスピードは、どんなふうに決めるのでしょうか?

「レーンスピードは、レーンの全長によって変わります。長くなればなるほど速くしています。長いレーンほど寿司のお客さまへの提供時間がかかりますから、スピードが遅いと待ちきれません。それでクレームが発生したりすることもあるのです」

長戸さんによれば、一番遅いレーンで分速4.5メートル、最速で7.3メートルほど。また、最近ではオーダー専用の高速レーンが加わった複線レーンのお店も増えているそうです。

――オーダー専用のレーンはスピードが速いんですよね?

「当社では、特急レーンと呼んでいます。こちらは御注文の寿司を少しでも速くお客さまに届けられるように、一般レーンよりスピードを速く設定しています。当社ではサウンドライナーという特急レーンの新製品を開発しております」

サウンドライナーとは、まるで新幹線のような形状のライナーで、音を発しながら走って寿司皿を客のもとへ運ぶレーンのこと。ライナーはリニアの原理で、レーンからわずかに浮いて走るのだそうです。技術が進歩していけば、もっと驚くようなレーンがこの先登場するかもしれませんね。

取材協力:北日本カコー

(OFFICE-SANGA 日下部商店)