パナソニックは5月10日、2013年3月期の連結業績(2012年4月1日~2013年3月31日)を発表した。営業利益は1,609億3,600万円を確保したものの、当期純損益は△7,542億5,000万円(当期純損失)となった。

薄型テレビやブルーレイディスク(BD)レコーダー、デジタルカメラなど、コンシューマー向けAV機器の販売が不調で、売上高は2012年3月期の7兆8,462億1,600万円から7兆3,030億4,500万円へと減少した。金額ベースで5,432億円の減少となったが、為替変動の影響を除く実質金額ベースでは6,292億円の減少という。

一方で、固定費の大幅な削減により収益構造が改善。営業利益は2012年3月期の437億2,500万円から1,609億3,600万円と大幅に増加した。

他方、ソーラー、民生用リチウムイオン電池、携帯電話などの事業に関して、のれん・無形資産の減損損失を計上したほか、連結子会社であるパナソニック プラズマディスプレイ保有の尼崎PDP国内第5工場に関する営業外費用(431億円)など固定資産に関連する損失を計上。これらを含めた事業構造改革費用は5,088億円となり、税引前利益は3,984億円の損失となっている。

加えて、米国会計基準に基づく繰延税金資産の取り崩しを行った結果、法人税等として4,125億円を計上。最終損益である当期純損益は7,542億5,000万円の損失となり、2012年3月期の7,721億7,200万円(損失)並みの水準となった。

2012年3月期 2013年3月期 前年度比
売上高 7兆8,462億1,600万円 7兆3,030億4,500万円 △6.9%
営業利益 437億2,500万円 1,609億3,600万円 +268.1%
税引前利益 △8,128億4,400万円 △3,983億8,600万円
当期純利益 △7,721億7,200万円 △7,542億5,000万円

次期以降の見通しとしては、2013年度(2013年4月~2014年3月)より3ヶ年の中期経営計画「Cross-Value Innovation 2015」をスタート。事業部制を核とした新たなグループ基本構造を築き、「赤字事業の止血」「脱・自前主義による成長・効率化」「財務体質改善」「お客様からの逆算による成長戦略」という4つの取り組みを推進するという。これにより、売上高は7兆2,000億円(前年度比99%)へと減少するものの、2,500億円(同155%)の営業利益を確保する見通しだ。

営業外損益としては、事業構造改革を推進する費用として1,200億円を計上する一方、一部の国内子会社において確定給付年金から確定拠出年金へ移行するのに伴い798億円の営業外収益を計上し、最終的に1,100億円(損失)の営業外損益を見込む。

これにより、1,400億円の税引前利益、500億円の当期純利益を確保する見通しとなっている。