林野庁は10月31日、スギ雄花(花粉)に含まれる放射性セシウムの調査について公表した。同庁では、国民の関心が高いことも考慮し、今月から調査するとしている。

林野庁によると、スギが本格的に花粉を作るのは、早い場合で25年生前後、通常は30年生程度から。花粉の生産量は、雄花の分化が始める7月の気象条件に強い影響を受ける。晴天の日が続き、気温が高いと生産量は増加するが、降水量が多いと減少する。

2012年の飛散量は、関東地方の場合、前年より少なく、概ね例年並みとの予測が気象庁によりなされている。

スギの雄花は、その年に伸長した小枝の先端近くに形成され、11月ごろには成長が終了し、成熟した花粉が雄花内に形成される。そして翌年の2月上中旬ごろから、花粉の飛散が始まる(関東地方)。

林野庁がスギの生葉に含まれる放射性セシウムの濃度を調査したところ、(1)福島県川俣町(うち計画的避難区域で測定)では、最高で1キログラム当たり17万7,600ベクレル、(2)福島県大王村では、1キログラム当たり1万1,700ベクレルだった。

スギの花粉はこれから冬にかけて形成されるため、生葉に含まれる放射性セシウムが、今後どの程度雄花に移行し、さらにどの程度花粉に移行するかは現時点では不明という。

このため林野庁では、今後スギの雄花の成長と合わせ、スギの雄花やその内部の花粉に含まれる放射性セシウムの濃度を調査することにした。

調査の時期は、2011年11月~2012年1月。12月には、中間報告の形で公表する予定。調査方法は、スギから雄花のついた枝葉を採集、枝葉から雄花を分離し、洗浄して乾燥させる。その後、雄花に含まれるセシウム134・137を測定する。

調査予定箇所は福島県内(福島第一原子力発電所の阿武隈山地のスギ林が主体)。ただし林野庁では、調査対象を関東や東北に広げることも検討しているという。