カナダ・モントリオールで開催されていた「第35回モントリオール世界映画祭」で原田眞人監督の『わが母の記』が審査員特別グランプリに、瀬々敬久監督の『アントキノイノチ』が、革新的で質の高い作品に与えられるイノベーションアワードを受賞した。

左から、樹木希林、同映画祭のビセンテ・アランダ審査委員長、原田遊人 拡大画像を見る

同映画祭のワールド・コンペティション部門に出品されていた日本映画2作品がW受賞するという快挙。『わが母の記』で編集を担当した原田監督の長男・原田遊人と樹木希林が受賞式に出席し、「監督である父は現在、撮影中のため代わりに受け取ります。このような素晴らしい賞を頂き、とても光栄に思っています。ありがとうございます」(原田)、「この映画の日本は今、原発と言う人災により、空気も壊れ、水も壊れかけています。私たちはこのような賞を頂いても、嬉しいような情けないような気持ちですが、こころして頂きます。美しい映画、と審査員に言われました。そういう日本でありたいと思いました」(樹木)と壇上で喜びを語った。

『わが母の記』
原作は井上靖の同名小説。小説家の伊上が父の死をきっかけに、幼少期において共に暮らさなかった母・八重の面倒を見ることになり、家族に支えられながら向き合っていく。出演は、役所広司、樹木希林、宮崎あおいほか

『アントキノイノチ』
過去のある事件から心を閉ざしていた男女が、「遺品整理業」という仕事を通して出会い、生きる勇気を少しずつ取り戻していく姿を描く。歌手・さだまさしの同名小説が原作。出演は、岡田将生、榮倉奈々ほか

『アントキノイノチ』の瀬々監督も「元気ですかー! ありがとうございました! これからスタッフ・キャストみんなで喜びを分かち合いたいと思います。みんな、喜ぶと思います」と喜びを爆発させた。また、「この役と出会い、他のキャストの方々、スタッフの方々と1つの作品作りができた事はとても誇りに思います。これから日本で公開されますが、ますます楽しみになりました」(岡田)、「とてもとても嬉しい気持ちでいっぱいです。改めて、この映画に参加させていただけて幸せに思います」(榮倉)と日本にいるキャストたちも続々と喜びのコメントを寄せた。

『わが母の記』は、2012年に公開。『アントキノイノチ』は、11月19日に全国公開される。