お金はうなるほど稼いでいるのに世界中から「かわいそう」と言われるキアヌ。ある意味"オイシイ"立ち位置なのか

2010年5月、ニューヨークにある公園のベンチで、1人ぽつんとテイクアウトしてきたと見られるサンドウィッチを食べるキアヌ・リーブスがパパラッチされた。このあまりにも切ない写真は瞬く間にネット上を駆け巡り、「キアヌかわいそう」「友達いないのか」「みすぼらしい」とさんざんな評価を得て「かわいそうなキャラ」を確立するに至った。Facebookでは毎年6月15日を「キアヌを励ます日」として制定するキャンペーンまで行われたほどだ。

そんな"かわいそうなキアヌ"が『Ode to Happiness(幸福へ捧げる詩)』 というタイトルの絵本を出したと英BBCが報じている。ロサンゼルス在住の芸術家アレクサンドラ・グラントが描く、涙でにじんでしまったような切ない絵に、キアヌの書いた詩が添えられているのだが、「絶望の部屋で/熱い悲しみの湯につかる」という書き出しで始まり、「後悔のシャンプー」「苦しみの石けん」「フェイスクリームなんてくそ食らえ」「シルクのパジャマでまたひとりぼっち」など、全編に渡って暗く沈んだ雰囲気と自己憐憫に満ちた言葉のオンパレードとなっている。

この本ができるまでのいきさつをグラントが語った。「私の友達(編集者のジャネイ・バーガム)がキアヌの家で、一晩中自己憐憫たっぷりの歌を聴かされたんですって。彼は面白がって、じゃあ僕も書くか、って感じで詩を綴り出したの」。

バーガムはこの詩をグラントのもとへ届け、6カ月かけて1冊の本にまとめあげてキアヌへプレゼントしたという。キアヌは「素晴らしいと思うよ! この本を手にしたとき、まさにこれだ、って思ったね。僕がこれを欲しいと思うんだから、きっと他の人だって同じはずさ。これからも本は作り続けようと思う」とコメント。

ただし、この"かわいそうなキアヌ"はあくまでも彼の仮面の1つであって本性ではない。少なくともキアヌ自身はそう強調したいようだ。そして、メディアによって作り上げられたイメージでもなく、ただ自分のユーモアセンスが発露しただけだとも付け加えた。「だって、僕は1人っきりでみじめにろうそくを灯しながらお風呂に入ったりしないからね」と主張しながらも、シルクのパジャマを持ち、フェイスクリームを使っていることは認めた。

『Ode to Happiness(幸福へ捧げる詩)』は4,000部限定で販売中。