カシオ計算機の後援により全国各地の楽器店で順次開催されている演奏会「CASIO Music Baton」が、9月上旬に東京都・多摩市のココリアホールで行われた。本演奏会は、プロピアニストによる演奏などを通じて、電子ピアノ「CELVIANO Grand Hybrid GP500」(セルヴィアーノ グランドハイブリッド、以下、CELVIANO GH)の魅力を伝え、地域の楽器店や音楽に携わる人々をつなぐ場をつくりたいとの思いから始まったイベントだ。

13回目となる今回は、今年創業140周年を迎えた老舗楽器店「スガナミ楽器」多摩店の主催で、奏者は赤松林太郎氏。赤松氏は国内外での演奏活動をしながら海外で国際コンクールの審査員も務めるなど、幅広く活躍中のピアニストだ。

「CELVIANO Grand Hybrid GP500」「CASIO Music Baton」のシンボルである鍵盤をイメージした「ミュージックバトン」(左)/ピアニストの赤松林太郎氏(右)

レクチャーコンサートの楽しさ

「CASIO Music Baton」の魅力の一つは、演奏とレクチャーの両方が揃ったレクチャーコンサートである点だ。本格的なハンマーアクション機構を備えた木製鍵盤の弾き心地や、グランドピアノ音への並々ならぬこだわりを含めたCELVIANO GHの魅力を、プロがすばらしい演奏と楽しいトークで紐解いてくれるのだ。

この日赤松氏が選んだのは、バッハの「主よ人の望みの喜びよ」、ベートーベンのピアノソナタ「熱情 第3楽章」、シューベルトの「ハンガリーのメロディ」、ショパン「ワルツ4番(子猫のワルツ)」 、グラナドス「アンダルーサ」、ピアソラ「リベルタンゴ」の6曲。

電子ピアノと豊かな演奏の秘訣

1曲目は、ドイツのC.ベヒシュタイン社と開発した音色ベルリン・グランドでの「主よ 人の望みの喜びよ」。落ち着きある上品な音色が会場に響き渡る。「音楽家として、技術革新によって生まれた楽器と向き合い、伝統を活かして新たな音楽をつくる役割がある」と語る赤松氏。空間に沿った音やプログラムづくりに長けた海外の音楽家を例にあげ、電子ピアノと会場の関係や、電子ピアノの音を最大限に発揮するための機材との付き合い方などを解説した。

曲ごとにCELVIANO GHのベルリン・グランド、ハンブルク・グランド、ウィーン・グランドから適した音色が選ばれ、その曲についての解説が加わるのは興味深い。

2曲目はウィーン・グランドによるベートーベンのピアノソナタ「熱情 第3楽章」。前方のスクリーンに手元が映し出され、音とともに演奏の様子を確認できるのもポイントだ。1曲目とは異なるスピード感溢れる打鍵や離鍵、激しく強い鍵盤の連打の様子を、参加者は熱心に確認していた。

時に優しく、時に迫力ある演奏に思わず聞き入ってしまう。スクリーンではCELVIANO GHの鍵盤のタッチや手元の動きも見ることができる

両極端な2曲の演奏後、赤松氏は「電子ピアノでは自分の感覚が何より重要です。五感を敏感に働かせ、指の圧力や角度、打鍵の速度を考えて弾くので、音づくりに、より意識的になります。そのため、CELVIANO GHで練習した後でアコースティックピアノを弾くと上達が感じられるのです。アコースティックとデジタルの両方を体験することは、技術の上達を促してくれるはずです」と実体験に基づく驚きを披露。電子ピアノの表現を豊かにするためには、自分の感覚を活かした音づくりも重要だということを伝えた。

続けて、ハンブルク・グランド音色でシューベルト「ハンガリーのメロディ」、ショパン「ワルツ4番(子猫のワルツ)」を演奏。民謡を思わせる哀愁とやさしさを感じる音色から明るく軽やかな音色まで、その表現の豊かさを印象づけた。

最後のパートは、迫力ある音づくりで有名だったベートーベンのエピソードなども交えつつ、グラナドス「アンダルーサ」やピアソラ「リベルタンゴ」を披露。情熱的で華やかな演奏は圧倒的な迫力があり、終了後には大きな拍手が沸き起こった。

楽器の魅力を体感し、音楽を愛する人々がつながる場に

赤松氏の情感溢れる演奏と軽妙なトークが伝えてくれるのは、クラシック音楽の素晴らしさと楽しさ、伝統と革新の力を兼ね備えたCELVIANO GHの魅力だった。この「CASIO Music Baton」を担当するカシオ計算機の黒田司氏は、企画の主旨を「楽器の魅力を言葉で伝えるのは難しいものです。そこで、このような演奏会を開いて、プロの方の演奏を通じてCELVIANO GHを体感していただきたいと考えました。また、このイベントが、私たちメーカーと楽器店さんやピアノ講師の方々、そしてお客様をつなぐきっかけにと思い、活動しています」と教えてくれた。

また、今回の主催者であるスガナミ楽器の坂本貴則氏も「電子ピアノによるクラシックの演奏会は初めて行いましたが、驚きや発見が多かったですね。赤松先生のレクチャーは私たちとは違う、新たな視点で音楽を捉えておられて非常に勉強になりました。来場者の方々の関心も非常に高く、これを受けて店頭展開も考えてゆく予定です。我々も今まで以上に、CELVIANO GHの魅力をお伝えしてゆきたいですね」と語っていた。

カシオ計算機 国内楽器推進室 主任 黒田司氏(左)とスガナミ楽器 多摩店舗音教営業課長 坂本貴則氏(右)。お二人が持っているのが、このイベントのシンボルであるミュージックバトンだ

その名の通り、全国の楽器店に「バトンを渡す」形で開催される会「CASIO Music Baton」。会場では、演奏に聴き入り、熱心にパンフレットに赤松氏の解説を書き入れ、終了後は感想を述べ合う参加者の姿を多く見かけた。こうしたつながりこそが、電子ピアノの未来はもちろん、クラシック音楽の新たな可能性を拓くに違いない。

今回の演奏者プロフィール

赤松 林太郎(あかまつ りんたろう)氏
2000年にクララ・シューマン国際ピアノコンクールにて第3位。国際コンクールでの受賞は10以上におよぶ。日本国内の主要ホールはもとよりアメリカ、ロシア、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オーストリア、ハンガリー、コロンビア、台湾など世界中で公演。近年では、ウィーン各地で室内楽コンサートをはじめ、ドナウ宮殿でのドナウ交響楽団との共演で成功を収める。現在は、ブダペスト国際ピアノマスタークラス講師、洗足学園音楽大学客員教授を勤めている。

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